「田島ヶ原」見学レポート

先日【9/16(水)文教建設委員会 3日目】の「戸田ヶ原自然再生事業」についての記事の中で取り上げた、「田島ヶ原」見学の模様です。
田島ヶ原は、市境をはさんで彩湖のすぐ北側(さいたま市側)にあります。
荒川沿いでは唯一、自然のままのこった湿地。現在は公園の一部になっています。
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大正9年の「戸田ヶ原」。
※「戸田ヶ原自然再生事業」とは:
(現在は荒れ地になっている)彩湖・荒川沿岸を、サクラソウが咲く湿地に戻し、かつて存在した「戸田ヶ原」を再び人の手で再生するという事業。計画中。
※「田島ヶ原」とは:
かつて湿地は、荒川沿いの自然の地形でした。
上流の方から、田島ヶ原、戸田ヶ原、浮間ヶ原、尾久ヶ原というように、荒川沿いには「○○ヶ原」という名称の湿地が多数、ありましたが、開発などにより消滅。「田島ヶ原」とそのサクラソウのみが特別天然記念物に指定され(大正9年)、現在まで保存されています。


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8月某日、衛生センター議会が午前中で終わったため、以前から見学したかった田島ヶ原へ!
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「田島ヶ原」のある「さくら草公園」の広場。
人の手をあまり入れない、のびのびした雰囲気は、外国の公園のような感じです。
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サクラソウ自生地を探しますが、あるのはヤブのみ。
このヤブが自生地のようです。
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背の高いヤブ(ヨシやオギなどの草だそうです)の中、かろうじて分かる細道を進みます。
いまの時期は、湿地というよりヤブそのものです。
冒頭写真の、かつての「戸田ヶ原」と、よく似た風景ですね。
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かなり背が高い草です。
私が1.8mなので、2mはあるでしょうか?
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人けのない湿地で日が暮れます。子供だけだったらかなり心細いと思われます。
小さいころの、草むらから夕方の帰り道。。。不気味な記憶がよみがえります。
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(ご参考)春の田島ヶ原。
とてもきれいですね。8月の景色からは想像もつきません。
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①今回の見学でわかった&思ったこと
●土地利用という観点からは、湿地自体の価値は低いのではないか。
1年のうちでも、夏は背の高いヤブ、秋から冬は荒れ地であり、一般の市民が訪れたくなるような場所とはいえない。
春のサクラソウを始めとする、きれいな湿原植物があればこそ、保存する価値があるのだと思われる。
●事実、大正9年の天然記念物指定の際も、「湿原」としてではなく、「桜草自生地」として指定を受けている。
湿地に対する価値ではなく、美しいサクラソウに対する価値が認められたということ。
●サクラソウは、ほうっておけば勝手に生えてくるものではない。
長い年月をかけ、自然のサイクルの中で少しづつサクラソウの群落が形成されてきた。
「種を発芽させて群落を作る」という人工的な増殖は、田島ヶ原においてもいまだ開発段階。ましてや人工的に再生した湿地で増殖するのだろうか?
●自然のままの田島ヶ原でさえ、湿原を守るために、大変な手間がかかっている。
草刈りや野焼きなどやらないと、草や木が育って、湿原だったところが普通の林になってしまうそうである。
②今後のポイント
●在来種のサクラソウの移植は、今後技術的に可能になるのだろうか?
難しいのであれば、湿地(戸田ヶ原)を再生する意義は低い。
(「人工的な」湿地に、「外来種の」サクラソウを植えるのは、戸田ヶ原再生という当初の目的とは異なる)
●湿地の再生にかかる費用(初期費用)もさることながら、その維持管理にも相当な費用がかかりそうである。
それぞれ、どれだけお金がかかるのか?今後提出されるであろう資料を精査したい。
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自然保護は大事なことですが、税の使い道を精査するのが議員の役割。
税金を投入しただけの価値があるかどうかは、冷静に見極めたいと思います。
とにかく、現段階で入手できる資料だけでは、判断がつきません。
くわしい資料が出た段階で、その内容についてみなさんのご意見を聞き、スタンスを決めるつもりです。