6月議会報告【外郭団体について②】

前回の記事に引き続き、外郭団体についての議会報告。今回は「埋蔵金」に関する件です。
以前の記事(ご参考:3/23(金)戸田市の埋蔵金)で、「戸田市国際交流協会」の基本財産2億円余りについて、全く活用されずに眠っている、つまり「埋蔵金」化している問題を指摘しました。
今回さらに、市当局への聞き取り調査の結果、憂慮すべき事実が判明しました。
その事実とは、2億円余りの基本財産が、元は戸田市が出したお金であるにもかかわらず、現在は完全に「戸田市国際交流協会」のものになってしまっている、ということです。
分かりづらいのですが、この2億円余りは、元は市民の税金であっても、現在は戸田市のものではないので、協会を解散する際や、それ以外の時でも、協会の自主的な意思決定によって市の意図に沿わないことに使われてしまう恐れがある、ということになります。
この2億円余りの基本財産の処分の仕方ですが、規約によれば、「法人又は国若しくは地方公共団体に贈与する」と定められています。
つまり、個人以外のあらゆるところへ移転される恐れがあるということであり、戸田市が意図しないような使途で使われることも考えれます。
こうした事態は、現時点の理事会メンバーでは考え辛いことですが、定款上理事の資格に制約は無いため、今後だれが理事会メンバーになるか分かりません。
これから先も続くと思われる、協会の長い歴史の中では、基本財産の流用は、十分にありえると見なくてはなりません。
幸いなことに、協会の常務理事から、評議員会の場において「市への返還も検討の余地がある」旨の答弁を得ています。
協会の側がそうした柔軟な態度であるうちに、手続きを進めてしまうべきではないでしょうか。
更に言えば、この2億円余りの処遇については、市への返還にこだわる必要はありません。巨額の基本財産が生かされるならば、他の方法でも構いません。
まずは財団法人制度や事例の調査に着手すべきと考えます。
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議会において、こうした一連の質問を行ったところ、市当局からの答弁は、先に掲載の通り「協会のガバナンスは確立されている」「当初、市から支出されたお金であっても、現在は返還を請求する権利は無い」という大変後ろ向きなものでした。
(ご参考:6月議会報告(速報版)
確かに協会は厳密な意味で市の支配下にある団体ではありませんが、その原資は市から出ているのですし、その事業は市の国際交流事業として、市民にダイレクトに影響する問題です。
また、2億円余りの基本財産に関しても、確かに法的に返還を請求する権利は無いのでしょうが、だからといって元は市民のものだった税金が、戸田市と関係のないことに使われかねない状況に置きつづけても良いというのでしょうか?
こうした市民生活の面でも金銭的にも、市民の利益に直結する問題に対して市当局の関心が極めて薄いのは大変残念なことです。戸田市や市民の利益を守ろうという意思を持って頂きたいと感じます。
更にいえば、ガバナンスや基本財産等についての問題は、国際交流協会に限ったことではなく、外郭団体全般に共通の課題と思われます。
例えば、公園緑地公社という外郭団体には、国際交流協会と同じような経緯の基本財産3.5億円が戸田市から出資されていますし、組織の形態も類似しています。
ガバナンスの問題や、余分な基本財産の回収(=市への返還)など、市全体の方針として取り組んでいくべきであると考えます。
本件に関しては、今後も私なりに現実的な対応を検討していきたいと思っています。

6月議会報告【外郭団体について①】

外郭団体の問題の一部については、数ヶ月前にブログに掲載しました。
(ご参考:3/23(金)戸田市の埋蔵金
この記事を掲載した時は、主に「戸田市国際交流協会」という外郭団体(※)の2億円余りの「埋蔵金」についてのみ論じました。
(※外郭団体=戸田市が出資する団体のこと。「国際交流協会」は、正確には外郭団体ではないそうですが、分類上、大差ないと判断し、ここでは外郭団体に含めます)
3/23(金)に記事を掲載後、追加調査を行い、更に大きな問題の存在が発見されたため、議会での問題提起を行いました。
ここで一点、お断りしておきたいのは、「戸田市国際交流協会」の活動自体に疑問を呈しているわけではないということです。
多くの市民の方が協会の事業に協力し、ボランティアとして草の根の国際交流活動を行っています。協会の問題点を解消し、私たち市民が安心して活動できるようにすべきだと考えます。
下に、「戸田市国際交流協会」の(③、④については、その他の外郭団体も含む)問題点を挙げます。
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①議会からのガバナンス(※)が利いていない。
(※ガバナンス=組織における意思決定、執行、監督のシステム)
例えば、先月5月に実施された理事会と評議員会において、恒例のオーストラリアにおけるホームステイ先が、リバプール市ではなくシドニーに変更になった旨、またリバプール市との友好交流とは一切関係なく実施される旨の報告がありました。
つまり、戸田市の重要な国際交流政策が、市議会に諮られることも無く、それどころか報告もされず、変更されようとしている、ということになります。
市議会議員の理事や評議員もいますが、数名づつと少数ですし、理事会・評議会の開催の日時は5月半ばですので、議会の平成24年度予算審議にも反映しようがありません。つまり議会からのガバナンスが利いていないことになります。
②補助金の支払者である戸田市からのガバナンスも利いていない。
例えば、3月の評議員会で、評議員の1人から、協会の人件費率が高すぎるという指摘がなされました。あとから聞いたところ、市当局としても問題として認識しているとのことですが、いまのところ改善されておらず、それどころか、最近も人件費は上昇し、その分も含めた補助金を支払っていると聞いています。
(ちなみに、協会の人件費率は53%ですが、これを世の中の企業と比較してみますと、中小企業庁が発表するデータの中で、協会の業務内容に最も近いと思われる業種は「広告代理業」になると思われますが、その標準的な人件費率は19%です。3倍近い開きがあります。)
こうした意見がなぜ反映されないかというと、やはりガバナンスに問題があると考えます。
評議員会における「人件費率が高すぎるのではないか」という指摘ですが、それ以外にも評議員会当日、いくつかの意見がでました。
当時の定款上、「理事会は議決の前に評議員会の意見を聞かなければならない」となっています。しかしながら、それらの(主には協会にとって耳の痛い)意見は、直後の理事会では一切触れられることは無く、それどころか予算などの原案が承認された・されないという、基本的なことすら報告がなされませんでした。つまり、評議員会は開催だけはされても、理事会が意見を受けたことにはならなかったということです。
定款の最重要部分ともいえる、協会の意思決定過程に沿っておらず、内部統制が利いていないことが、評議員や市当局からの意見が反映されない一因であると思われます。
③外郭団体トップの問題。
外郭団体トップには市OBの方が在籍しておられます。それらの方は、市役所内部を知り尽くしているだけあって、市とうまく連携を取り、事業を推進されていることも多いのではないかと想像します。その意味で、私は市OBが外郭団体に再就職することに、必ずしも反対ではありません。
しかし、もし仮に、市OBが外郭団体側に有利になるよう積極的に動くとすれば、かつての部下や後輩である現役職員は、業務の発注者として、かなりやりづらいだろうと想像します。
具体的な内容は伏せますが、ある外郭団体に在籍する市OBが市役所内部の会議にまで出席し、頻繁に発言するという事例が見られました。担当職員によれば、「出席させるべきではない、ということは分かっていても、むこうが出席するというものを断るわけにもいかない」とのことでした。
この例のようなことが日常的に起こっているとすれば、市OBが役所内の会議にまで出席し、所属する外郭団体の権益を守るべく政治力を発揮しているのが現状であるということです。
これでは、市から外郭団体への業務委託の適切性に疑念が生じるのはもちろんのこと、市OBの外郭団体への再就職という慣例自体が適切であるかどうか、ということにも関わる問題だと思います。
④理事会、評議員会のメンバー構成の問題。
理事会や評議員会は、株式会社における取締役会に当たる大切な機関です。
しかしながら、理事や評議員はアテ職(ある団体の役職が外郭団体の理事・評議員を兼任するとして、自動的に決めらえれている)や市OBが多く、内部統制の役割を果たしていないのが現状です。
理事会・評議員会は形がい化し、本当の課題が議論されないということが起こっていると思われます。
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これらの問題は、3月以降、苦労しながら調査してようやく分かってきたことです。
その他にも、3/23(金)戸田市の埋蔵金で指摘した2億円余りの「埋蔵金」についても、新事実が判明しました。
次回の記事で、この点について明らかにします。