6月議会の一般質問

6月議会の議事録が、市ホームページで公開されました。
事務局から頂いた写真と共に掲載いたします。
(長いです)
◆6番(酒井郁郎議員)
自殺対策について質問させていただきます。よろしくお願いします。
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近年、自殺は大きな問題として認識されてきています。
御存じのとおり、自殺者数は11年連続で3万人を超えるという高どまりの状態にあり、また社会問題となってきています。今平成21年も4月末時点で自殺者数は1万1,000人を超え、過去最悪ペースとなってきています。12年連続の3万人超えは確実の情勢となってきています。
平成10年に急増した自殺者の大部分は、経済問題が原因と考えられます。
その一方で自殺に対する社会の受けとめ方は変わってきています。
1点目として、自殺は個人的な事情による問題ではなく、社会的な問題であるということです。
2点目は自殺は避けられる死であると、このようにとらえられるようになってきました。つまり、適切な医学的対応や相談者の存在などの社会的支援を行うべきであること、また、それがあれば、自殺を無理なく防ぐことは可能であるということがコンセンサスとして形成されてきています。
そうした社会の受けとめ方の変化もあり、国のスタンスも変わってきています。
平成18年には、自殺対策基本法が成立し、国もようやく自殺防止に本腰を入れ始めたのが現状です。
市町村でも自殺予防週間に合わせてキャンペーンですとか、リーフレットの作成や配布といったようなことがなされています。
これまで自殺対策が軽視されてきた理由の一つに、自殺は一部の人の問題だという誤解があります。しかしながら、自殺はすべての人が直面しうる問題です。
例えば最近、閣僚ですとか、国会議員の経験者、海外の国家元首経験者が自殺を図ったことは記憶に新しいところです。そうした精神的に特に強いはずの人たちであっても、一たび精神のバランスを崩せば、間違った選択をしてしまう場合があるということが、これらの例からわかります。
これは現時点で自殺と関係のない市民にとっても、いつか精神的に追い詰められるということは起こりうるということです。そのときに、自分自身が適切なサポートを受けられるということがわかっていれば、今よりも安心して生活できるのではないでしょうか。つまり、自殺対策はすべての市民のための対策であるということです。
さて、我が戸田市においても自殺は死因の上位を占めているようです。
事前に資料要求させていただきましたデータによりますと、ここ10年は毎年20人前後の方が自殺で亡くなっています。戸田市内の全死因中5番目に多い死因であるということです。
さらに自殺者の背後にはその10倍以上の自殺未遂者がいると言われています。つまり年間200人以上の自殺未遂者がいるということです。
その一部は救急活動の出動記録にあらわれています。平成20年中は47件の自損行為、つまり自殺未遂者のうち救急救命が必要だった方のための出動があったとのことです。
こうした戸田市の自殺に関する数値データは全国平均と大きく外れていないレベルにあります。それでもこれだけ多くの方が精神的に限界まで追い詰められて苦しんでいるわけです。逆に言えば、効果的な対策をもし行うことができれば大きな便益があるということだと思います。
さて、ここでお尋ねしたいのが、現在の状況についてどのようにお考えになるかということです。
1点目のポイントとして執行部の見解をお聞かせいただければと思います。
次に、具体的な取り組みの中身です。
例えば高知県では、多重債務に取り組んだことにより、平成20年に16%、42人もの自殺者の減につなげたそうです。経済問題は適切な対処さえできれば、自殺の原因そのものがなくなるわけですから、効果が大きいわけです。この大不況期にこれだけズバッと減らした例があるというのは、適切な対策を行えば、大きな効果が期待できるということではないでしょうか。
また、大阪の堺市では、4月に会派視察を行いましたが、主に2つの点で先進的な取り組みを行っています。1点目として、大阪府警から自殺未遂者個人の情報を受けているということです。自殺防止は当然、自殺リスクの高い方を対象に行うのが効果的です。もっともリスクが高いのは自殺未遂者、つまり過去に自殺を図ったことがあるが、未遂に終わった方です。未遂者の情報があれば、グッと効率的に自殺対策を行うことができるわけです。しかしながら自殺を考えている人の多くは、特に男性は、だれにも相談することなく亡くなってしまうことが多いそうです。未遂者の情報をどこかでつかまえるということが大事なわけですが、その最も有力なチャンネルが警察であるということのようです。
2点目として、命の応援係という名称の自殺対策の係をつくったという点です。この係は、大阪府警からの未遂者情報をすべて引き受けることになっています。その上で必要に応じて多重債務などの相談窓口に振ったり、また係の中で対応したりという判断を行います。ちなみに命の応援係の陣容は、精神保健福祉士3名を含む全6名とのことです。
さて、我が戸田市の自殺問題への取り組みは、現状いかがでしょうか。
さらに今後の取り組みに関しまして、先ほど質問しましたような先行事例と、すべて同じことが戸田市でもできるということは考えておりません。それでもたとえ、現在の体制を大きく変えなくとも効果が出ることはやれると思います。
例えば、自殺者や未遂者の情報収集、分析であるとか、情報収集、自殺対策のコーディネートを行う窓口の設置を行うであるとか、また救急や警察など、関係各機関との連携を行っていくといったようなことです。これらを戸田市独自の取り組みとして、または県や関係各機関の協力を仰いで実施することはできないでしょうか。
2点目、3点目として、見解をお聞かせいただければと思います。
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◎大熊吉正 医療保健センター事務長  
件名1、自殺対策について(1)の戸田市内の自殺の状況に対する現状認識についてお答えいたします。
ただいま酒井議員の申し述べられたとおり、戸田市の平成19年度の自殺者数は22人、全死亡数に占める割合は3.3%となっております。その年によって多少の差はございますが、戸田市における自殺者は毎年、おおむね20人前後、全死亡の3~4%でございます。
また年齢構成の影響を除いた死亡率を年齢調整死亡率といいますが、この死亡率を比較いたしますと、県内70市町村のうち下位から18番目となっております。
戸田市の場合、自殺は悪性新生物、がんなど、他の死因と比べると、決して多くはありませんが、働き盛りの年齢層では死因順位の上位に当たると認識しております。
(2)の戸田市において現在実施している自殺対策への自己評価についてお答えいたします。
初めに、医療保健センターでは個別健康栄養相談、内容については生活習慣病予防、健診結果、食生活改善、禁煙などについて、保健師、管理栄養士などが相談に応じている内容を月1回、電話健康相談を月曜日から土曜日の午前9時から午後5時に実施しております。
また精神保健相談として、心のトラブルに対して電話や面接等で相談に応じております。また町内各部で市民相談窓口を実施しており、多重債務相談や福祉相談、家庭児童相談、教育相談、心配事相談、悩み事相談など、市民のニーズに応じ各種相談を継続的に行っております。
このことから本市といたしましては、直接的、あるいは間接的に多方面で自殺予防の対策に取り組んでいると考えております。
一方、平成20年9月に策定されました埼玉県自殺対策推進ガイドラインによりますと、自殺対策は事前予防、危機対応、事後対応の各段階に応じた施策が必要とされております。
事前予防とは心身の健康の保持増進への取り組み、及び自殺や精神疾患についての正しい知識の普及啓発など、自殺の危険性が低い段階で予防を図ることでございます。これを踏まえまして、今年度から医療保健センターでは健康推進室の保健事業において、事前予防といたしまして歯周疾患健診や出前講座などの健康教育で市民の皆様と触れ合うときに、このようなストレスチェックシートつきパンフレット、この中身は22項目の質問がございまして、これは配付されていただきます。メンタルヘルスについてのワンポイント指導を開始いたしました。このパンフレットの使用目的は市民の皆様が御自身で、ストレスチェックを行っていただき、御自分のストレス状態を把握して、対処法を習得していただき、うつ病などの精神疾患の早期発見と早期受診を促す目的で実施しております。
このように自殺対策につきましては事前予防の取り組みに着手したわけでございます。今後、実態把握や関係機関との連携、相談活動のできる職員の人材確保、養成及び資質の向上など、体制の整備を図る必要性があると考えております。
(3)の他市の先行事例に倣ったより積極的な取り組みを行うことができないかについてお答えいたします。
①の自殺者、未遂者情報の収集分析についてお答えします。現在、戸田市の自殺者情報の大部分は埼玉県の人口動態統計から取得しているのみでございます。現時点での最新の情報は先ほど(1)の戸田市内の自殺の状況に対する現状認識についての中でお答えした数値が最新の平成19年度のデータでございます。未遂者情報については把握ができておりません。
次に②の窓口の設置についてお答えします。
先ほどの埼玉県自殺対策推進ガイドラインの県統計によりますと、自殺の原因は精神障害、病苦などの健康問題が最も多く、次いで負債、生活苦、事業不振、失業などの経済・生活問題、次に家庭問題の順になっております。
このように自殺の原因にはさまざまな問題があり、各問題の担当部署がそれぞれ独自の窓口を設置しているのが現状でございます。それぞれの担当職員には専門的な知識が不可欠であり、人材の養成や確保には時間を要し、容易には対応ができないと考えております。
今後、個別相談等に職員が柔軟に対応できるように職員の精神保健への理解を深め、研さんを積み、庁内関係各部課とネットワーク化を図り、自殺対策窓口の設置について検討させていただきたいと考えておりますので、御理解のほど、お願い申し上げます。
最後に③の救急や警察など関係機関との連携、情報の共有、自殺未遂者のケアなどについてお答えします。
初めに精神保健及び精神障害福祉法第24条によりますと、警察官は精神障害などによる自損行為や他人に害を及ぼす恐れがあると認められる者を発見したときは保健所長を経て、県知事に報告しなければならないことが定められています。
また消防本部では自損行為の救急活動を行っております。次に、警察署は変死者について死因の事件性の有無を確認し、自殺かどうか検視を行うこと、救急医療機関や精神科の病院では自殺未遂者について治療を行うことなど、それぞれの関連機関が自殺に関して取り組んでいることは、周知のとおりでございます。
あわせて、自殺にはさまざまな原因があり、各関係機関、担当部署が各種相談や問題解決に取り組んでいるのが現状でございます。
今後、この自殺対策を推進するに当たり、これら関係機関や関連部署との緊密な連携と情報共有を図るため、さまざまな状況に応じた施策について検討してまいりたいと考えております。
また、外部関係機関と連携する場合には、個人情報保護に十分留意する必要があります。いずれにいたしましても、御提案の趣旨を十分に精査させていただきまして、今後の検討に反映させいただく所存でございます。
以上でございます。
◆6番(酒井郁郎議員)
(1)の質問に対する御答弁についてですけれども、大まかには認識を共有していただいているようで安心いたしました。
事前にいただいた資料ですと、ちょっと手元にはありませんが、15歳から45歳ぐらいの若年層では死因のトップ、すべて30%前後の死因になっていたと思います。これ、特に大きな問題であると思いますので、そういった面からもこうした対策が必要であるというふうに考えます。
共通の土台の上に立って、ここから先の議論を進めさせていただきたいと思います。
(2)についてですけれども、御答弁で自殺対策というふうに銘打っていなくてもメンタルヘルスですとか、ストレスといったようなことへの対応ですとか、睡眠不足といったことに対する啓発と、そういったことが間接的に自殺対策になっているというふうに思います。限られた陣容の中で、極力取り組まれているのではないかと思います。
現時点で自殺対策と銘打って問題に取り組んでいるところは、市町村では余り多くはないと認識しております。しかし、現在の戸田市の体制であっても、ある程度取り組みの余地がさらにあると考えます。例えば、次のようなものは、現時点でもやれるのではありませんでしょうか。
まず、匿名情報、つまり個人データを含まない一般的なデータ、原因別の人数ですとか、年代別、地域別の人数ですとか、そういったデータの整理ということです。先ほど御答弁いただきました埼玉県のデータ、こちらは大ざっぱなものが多いと思います。ほかのソースからの情報元からの情報も収集・分析していくというようなことをお願いできませんでしょうか。
例えば、まず警察や病院、また救急との情報共有を行うことができると思います。警察や病院は、事前に蕨警察ですとか、戸田中央総合病院ですとか、そういったところにインタビューを取りましたところ、個人データを含まないものであれば、提供のハードルは低いということで、前向きな反応をいただいています。
この点、救急のほうではいかがでしょうか。情報共有で連携可能でしょうか。消防長、御答弁をお願いいたします。
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◎石井敏道 消防長
情報提供につきましては、数字等でしたら個人が特定されませんので、救急の件数については、すべてというか情報提供はできると思います。
以上でございます。
◆6番(酒井郁郎議員)
安心いたしました。
救急からの情報の提供、またその活用はすぐにでもをやっていけることであると思いますので、ぜひ御検討いただければと思います。
そして、そのデータの分析を行って、その分析結果を活動指針に生かしていくと。
例えば、分析を行った結果、経済要因による自殺が多発しているということであれば、生活困窮者ですとか、多重債務ですとか、中小企業対策ですとか、そういった施策の広報の拡大を働きかけるというようなことですとか、また、特定地域や特定年齢で多発しているということであれば、原因の究明であるとか、そうした当該集団の対策の拡大であるとか、そういったことを検討していくことができると思います。
こうした案につきまして、いかがでしょうか。現在の体制下でも実施可能ではないでしょうか。御答弁をお願いいたします。
◎大熊吉正 医療保健センター事務長
今、議員の申し上げました連携という課題でございますけれども、現在、行政の中ではさまざまな部署において、多重債務とか、あるいは健康の問題とか、あるいは家族問題とかそういったことでの点というか、それぞれの窓口はございます。その窓口が一応ネットワーク化して、自殺というその防止のための検討を行っていくということが、まずそういった体制、体系づくりが必要になってくるというふうに考えております。
また、先ほどの警察署とか病院につきましても、当然、警察については、国がそういった自殺対策基本法を制定しておりますし、国の責務として情報を送るということも協力が得られるというふうには考えております。
それから、あと病院につきましても戸田市内の病院においての自殺搬送されたケースで、そういった情報も把握するということも、今後、連携を強めていきたいというふうに考えております。
そういった自殺の数とか年齢とか、あるいは自殺の動機、原因、そういったものの戸田市の情報を今後も統計的に、それから防止の観点から集めていきたいというふうに考えております。
以上でございます。
◆6番(酒井郁郎議員)
はい。自殺問題と申しましても、多重債務ですとか、精神保健関係ですとか、既に現在、対応されているということがかなり多いわけです。ですので、私も必ずしも新しい体制をつくる必要はないと思っております。むしろ今あるそういった体制をうまく活用して連携してやっていくと御答弁いただいたとおりですが、そういった考え方がまずは必要になってくるのではないかと私も思います。
もう1つ、現在の体制のもとでもできそうなこととしまして、研修啓発活動ということがあると思います。
対象として精神保健の御担当者のほか、多重債務の窓口の相談員の方など、そうした自殺に関係のありそうな関係者の方を対象としたものです。
研修啓発活動、これらが必要であると私が考える背景ですが、自殺未遂者ですとか、自殺念慮者に対して、どういうふうに対処したらいいのかわかっている人が、余り多くはないというような現状が挙げられます。よく聞くのは、そうした自殺未遂者、念慮者に対して、下手なことを言って逆効果になったら大変だと、そうしたことが怖いというような声です。
または自殺リスクの判定には、専門的なある程度知識が必要になるわけです。
そうした意味で研修ですとか、啓発活動が効果的なのではないかと思いますが、現体制下でこうした案を実施していくことはできませんものでしょうか。御答弁をお願いいたします。
◎大熊吉正 医療保健センター事務長
具体的には、精神保健福祉相談員の養成といったものだと思いますけれども、現在、戸田市の職員の中でも2名います。
一定のカリキュラムとか、一定の実務研修を経て行うわけでございますので、通常の本来の業務と兼ね合わせも考えながら、研修担当のほうの課とも調整いたしながら、そういった自殺対策に対する、やはりデリケートなノウハウというものは、専門的なそういった研修を積まないとできないというふうに認識をしておりますので、今後、なお、その人数をふやしていくような方向で考えていきたいというふうに考えております。
以上でございます。
◆6番(酒井郁郎議員)
前向きな御答弁ありがとうございます。ここまで現在の体制でも何とかできそうなアイデアを出させていただきましたが、またさらに一点一点お聞きしたいと思います。さらに現在の体制で実施するのは、やや難しいかもしれませんが、一歩先の取り組みについてお尋ねいたします。
まず、主に警察からの未遂者情報の提供を受けていくという取り組みです。
事前のインタビューで蕨警察の方からコメントとして、警察のほうとしても、もう精神だろうと多重債務だろうと、まとめて、ドーンと引き受けてくれるような窓口があったら、確かに助かるなというようなコメントがありました。今現在、自殺未遂で出動しても事情聴取をした上で、激励して帰ってもらうというぐらいしか対応のしようがないということのようです。
また、先ほど御答弁で少々触れていただきましたが、未遂者情報を多く、最も多く握っているのが警察であるということもありますので、ぜひ実現させていただきたいと思います。
その体制として、2つぐらい案を考えさせていただきましたので、それぞれについてお尋ねしたいと思います。
まず1つ目の案ですが、川口保健所での非公式なディスカッションの中から生まれたアイデアです。
まず、その窓口を川口保健所に置くと。
川口保健所管内の3つの警察署──武南警察、川口警察、蕨警察から川口保健所のほうが未遂者情報をドーンと受け取ると。
そして、必要があれば、戸田市、またその他の関係機関に情報を振り分けていって、共同で取り組んでいくというような流れです。
こちらの案は県の協力が必要ですし、川口保健所の体制強化が不可欠なものですので、実現のハードルが高そうだと私も思いますが、本案の実現可能性ですとか、うまく機能するかどうか、そういったところについて御意見をいただけますでしょうか。
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◎大熊吉正 医療保健センター事務長
川口保健所につきましては、うつ病患者の相談とかケア等に当たっております。そういったことで、保健所が中心となって行うことが一番望ましいというふうに考えております。
具体的な事業としては、ひきこもりの集い、専門相談とか、薬物依存症家族の集いとか、うつ病当事者の集いといったような、そういった定期的なものもやっておりますし、戸田市としてもそういった事業に対して会場場所を提供したりとか、そういったうつ病当事者の集い等も実施しておるところでございます。
それからあと、警察の関係につきましては、生活安全課でしょうか、余り通常つながりがないわけでございますが、議員さんのほうも何回か折衝したということでございますし、そういった情報も体制化されたときには、一緒に取り組んでいただけるような内容ということもお聞きしましたものですから、それも1つの体系的なケースとして考えるものだと思っております。
以上でございます。
◆6番(酒井郁郎議員)
本来的な役割分担からは、最も望ましい形であるということですね。
もう1つは、第2案としまして、こちらは蕨警察との非方式なディスカッションの中から出てきたアイデアですけれども、蕨市と、まず戸田市が歩調を合わせて、それぞれの役所内に窓口を置くと。
そして、蕨警察からの未遂者情報を、それぞれの市の窓口がどおんと受け取ると。
それで各市でそれぞれに取り組みを行っていくということですね。もちろん必要があれば川口保健所と共同で取り組みを行っていくというものです。
こちらのアイデアのほう、実は非公式ではありますけれども、蕨警察の方から出していただいたアイデアです。ですので、蕨警察の方からは、そうした要望があれば検討すると言っていただいてますので、ひょっとしたら比較的ハードルが低いのかも知りません。
本件についても御意見をいただけますでしょうか。
◎大熊吉正 医療保健センター事務長
戸田市と蕨市のつながりの中で、現在、戸田蕨市精神保健福祉業務検討会というものの会議がございます。
この目的でございますが、精神母子保健福祉業務の中で対応困難な事例について、関係機関の担当者で事例検討を行い、その事例にあった処遇を見出すとともに、各担当者の相談技術の向上を図る、共通の事例に対する処遇方針を共有し、関係機関の連携を図る。
関係機関が保有する情報を共有し、地域住民に対するサービスの向上を図るという、近況報告、事例検討、それからお知らせといった内容でございます。
関係機関のメンバーについては、事例提供者、それから各種精神保健福祉サービス従事者、精神科医療機関職員、社会福祉協議会職員、川口公共職業安定所特定援助職員、川口保健所職員、蕨市、戸田市保健福祉関係職員、その他、業務検討会が必要と定めた者ということで、つい6月4日も26名の出席者のもとに、そういった会議を開催しております。
当然、会議の中身については個人情報の関係をしっかり管理した上で、その事例について、今後、関係機関と連携しながら、当事者も含めてつなげていくことも、そういったケースも提出されておりますので、既存のこういった組織も使っていきながら、連携を深めていくということは可能であると考えております。
◆6番(酒井郁郎議員)
はい。いずれも実現の可能性があるということですが、私個人としては実現性がより高いという点で、第2案かなというような気がいたしますが、いずれの案であっても実現すれば、効果の出そうな取り組みですので、ぜひ、前向きに進めていただければと思います。
警察だけではなくて、救急におけるこの面での提携の可能性についてもお聞きしたいと思います。救急に入ってくる自殺未遂者個人の情報提供の面で協力を行っていくことはできませんでしょうか。御答弁をお願いいたします。
◎石井敏道 消防長
情報提供につきましては、先ほど御答弁申し上げましたとおり、件数等の個人情報が特定されなければ問題ないと思います。
しかしながら、救急業務における傷病者の情報は個人情報になりますので、消防としては提供はできません。しかしながら、戸田市の個人情報保護条例も考慮しなければならないと思っています。
そういった場合もありますので御理解をいただきたいと思います。
以上でございます。
◆6番(酒井郁郎議員)
個人情報の問題につきましては、先ほど例として挙げさせていただきました堺市では、未遂者本人の同意を受けて、その上で一筆とることによってクリアをしているということです。
そうした方法で戸田でも実施することはできませんでしょうか。御答弁をお願いいたします。
◎中村美喜雄 総務部長
個人情報を管理しております総務部からお答えをさせていだきます。
個人情報にかかる目的外利用、あるいは外部提供につきましては、個人情報保護条例第9条において、本人の同意があれば可能であるということを規定しております。
以上でございます。
◆6番(酒井郁郎議員)
一筆とれば、未遂者個人の情報提供は恐らく高いということではないかと思います。
ですので、もし仮に警察との提携が、なかなか難航するというようなことがありました場合も、ぜひ救急とのそうした情報のやりとり、情報提供を受けるというようなシステムをまずは御検討いただければと思います。
本件に限らず私の希望としまして、ぜひ、やれることからやってってほしいということがあります。
市内で今現在の状況下で、毎月1、2名ずつぐらい、自殺で亡くなっている方がいます。対策がおくれれば、その分、死なずに済んだ方が死ぬということが起こりうるということだと思います。
先ほど申しました会派視察先の大阪府警の警部さんも、その意味で自殺対策は待ったなしであると言っておられました。その警部さんにいただいたコメントでもあります。
進め方としまして、まずはその体制をつくって、その体制が整ってから、さあ始めようということではなくて、先ほど申しましたような現在の体制からでもやれることからやっていくというような姿勢で臨んでいっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。お願いいたします。
◎大熊吉正 医療保健センター事務長
今回、自殺について私も今まで深く考えたことがございませんでして、今回の一般質問によりまして、にわか勉強のような形になってしまいましたけれども、いろいろと調べさせていただいた率直な感想でございますけれども、やはりまず人材の養成というのが一番大事ではないかなというように考えております。
その対象がデリケートな問題が含んでおりますし、当然、自殺者の家族とか、自殺未遂者にとって見れば、なるべくなら情報を出したくないといったような気持ちになる方がほとんどではないかというように考えております。そこでやはり専門的な資格とか、専門的な研修を積んだものが対応することによって、今後の未然に自殺を防ぐということの防止策になるということも考えております。
それから限られた資源の中で、今ある、できるものからやっていくということに関しても、先ほどの資格の問題もいろいろと業務の関係もございますので、なかなか精神福祉相談員の資格というものもなかなかとれない状況もございますし、まずは、そこまでいかなくても、そういった自殺対策のための研修に参加していくということも機会をとらえて行っていくとか、それから今あるいろいろな連絡協議会を活用していくとか、それから、病院とか警察とか、後は相談窓口の業務の課とか、そういったところと連携を深めていくということもできることではないかなというように考えております。
ということで、できることからやっていくという形で、私どもほうでも考えていきたいというふうに考えております。
◆6番(酒井郁郎議員)
私も自殺対策、待ったなしであると思いますので、今後もできることから、なるべく早く取り組んでいっていただきたいと思います。
今後の社会状況、不透明感が漂っていると思います。
全治3年という話もありますし、今までよりもさらに景況感が悪化していくということも、ないとは言えません。
そうなりますと、未来に絶望する方がどっと出てこないとも限りません。
その備えという意味でも、ぜひ取り組みのほうお願いしたいと思います。
最後に要望したいことがあります。それは、自殺対策にかかわる職員の方のケア、特に精神的なケアのことです。
先ほど、御答弁の中で、まずは人材の養成っていうお話もありましたが、それにも関連するところでありますけれども、例えば、十分な準備を行っていくということですね。
特に、自殺未遂者ですとか、そういった方に対して相談にあたるという方は、その内容に応じた教育、研修、ロールプレイなどをぜひ十分に行っていただきたいということ。また、そうした係の御担当者の方、1人でそうした自殺対策に当たるつらさ、苦しさ、そういったことをため込まないような工夫、例えば、堺市の例ですと、情報を共有していったりですとか、チーム制をとったりといったことが例としてあげられました。
自殺対策、これは負担の大きい事業であると思います。その意味で実施に当たっては、十分な配慮をいただくように要望しまして、質問を終わらせていただきたいと思います。
大変どうもありがとうございました。(拍手)