こんな活動やっています①【教育問題】

「3学期制→2学期制」変更の検証をしました。
市内小学校での2学期制導入から丸3年。現状を次のように捉えています。
ポイント①:2学期制導入で、授業時間増などの大きな効果が確認できた。
ポイント②:2学期制の実施を軌道に乗せるには、更なる改善が必要ではないか。
――― * ――― * ――― * ―――
全国的に「2学期制」の学校が増えています。今までは「3学期制」。「4月から1学期が始まって、7月に夏休み。9月から2学期で、年末年始は冬休み。1~3月の短い3学期が終わると、進学か卒業」というのが、明治から100年以上続いてきた、全国的な定番でした。
昨今、授業時間を増やす目的で【注1】秋を境に前期と後期に分ける「2学期制」に変更する学校がでてきました。現在は、公立の小学校で4668校(21.8%)、中学校で2284校(23%)と公立小中学校の5校に1校は2学期制になりました【注2】。導入で大きな成果を上げる自治体(所沢市、鶴ヶ島市など多数)がある一方、せっかく導入したのに保護者の理解が得られず、廃止に追い込まれる自治体(あきる野市、太田市など)もでてきています。
(【注1】2学期制にすると成績をつける回数が1回減るため、テストの実施や通知表作成などに要する時間(10時間程度)を授業に回すことができます。【注2】読売新聞調べ。)
戸田市においては、H19年に3小学校で試行開始、21年には市内の全12小学校で導入が完了。中学校については、現在のところ導入の予定はありません。
導入の結果、授業時数が10時間以上増え、「補充授業や総合学習などの時間ができた」「(特に今年は)インフルエンザ流行による学級閉鎖があったが、対応しやすかった」など着実に効果が出ているようです。
一方、導入に際しては当初から「(保護者や教育現場に対し)説明不足なのではないか」との意見がありました。そこで今回、下記の①、②を実施しました。
①保護者や教職員の方々とディスカッションを実施。
②2学期制の先行自治体(石狩市、所沢市、鶴ヶ島市)、廃止自治体(あきる野市、太田市)の調査(担当者ヒアリング、資料検索)
その結果、下記①~④のような論点があると考えられたため、3月議会において一般質問を行いました。
①夏休み・冬休みの前に通知票を出せないか
・大部分の保護者が要望。「振り返りや、休み中の課題整理などに活用したい」。
・他市では簡便な成績表(「中間成績表」)を出すことで、要望に応えている。
【教育委答弁】
・現在の内容で対応(=「中間成績表」は考えていない)。
・教職員は現状、非常に多忙であり、これ以上の作業を増やすことは難しい。
②夏休み・冬休みの前の3者面談の充実
・休み中の課題整理などが目的。
・2学期制導入に伴い実施したところ、保護者には好評。
・一方で、先生によっては雑談で終わってしまうケースも。
【教育委答弁】
・面談の基本内容は教職員に指導している。
・教職員の資質向上に努める。
③中学校での導入
・小学校においては、2学期制により10時間以上の授業時数が確保できた→効果が確認できたのだから中学校でも導入すべきではないか。
・全国的にも、小学校よりも中学校のほうが、導入割合は高い。
【教育委答弁】
・検討したい。
・高校受験用の成績交付時期の問題がある。
④保護者の意見をくみ上げ、それに応えてほしい
保護者全員を対象としたアンケートを実施し、保護者の意見や対応状況を透明化できないか。
【教育委答弁】
保護者会での意見の収集で対応する。
――― * ――― * ――― * ―――
私は、2学期制を軌道にのせることが、学力向上策の前提になると考えます。
そのためには、長年なじんできた制度を変更するのですから、保護者とのコミュニケーション(説明や要望の組み上げ、対応状況の透明化など)が不可欠。実際、2学期制を成功させている自治体では、分かりやすい説明と保護者からの意見の収集を徹底的に行っています。
この点で、戸田市の教育委員会の対応には改善の余地があると感じました。例えば、上記「①夏休み・冬休みの前に通知票を出せないか」については、現場の先生方の作業量の問題でどう工夫しても実現できない、ということもありえます。しかしながら、そうした説明がなされた形跡はありません。説明がなければ保護者は「自分たちの意見が無視されている」と感じてしまいます。2学期制への理解や協力は得られなくなるでしょう。
今後もひき続き、2学期制の検証と公教育の改善に取り組んでいきます。保護者の皆さんからのご意見をぜひ、お待ちしています。