6月議会報告【公立保育園の使用済みおむつ】

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先日、公立保育園について保護者の方から話をお聞きする機会がありました。
その際に初めて知ったのですが、戸田市の公立保育園(全8園)では、園児がうんちやおしっこをした後の使用済みの紙おむつを(園では廃棄処理せず)保護者が持ち帰るきまりになっているとのことでした。
私は以前、保育所を運営する会社に勤務していたことがありますが、使用済みの紙おむつは園で捨てるのが当たり前だと思っていたので、こうした実態を聞いて大変驚きました。
(サービス面、衛生面のどちらの面から見ても考えられないことでした)
経験された方なら分かると思いますが、使用済みのおむつはビニル袋に入れていてもニオイがもれてきます。夏場に半日もたったらかなりきつい。
保護者の中には、もう慣れてしまって「何とも思わない」という方もおられるようですが、バスや電車など公共交通機関で帰る方、帰りに買い物をされる方などは特に、匂いが漏れるのが気になるという方も多いようです。
不便なだけでなく、衛生面も大いに疑問です。
オムツをビニル袋に入れて縛る場合、相当厳格な手順を踏まなければ、糞便の一部はビニル袋の外側に付着します。
ノロウイルスなどは100個以下のウイルスでも感染します。極めて微量であっても、ビニル袋に付着した糞便が乾燥すれば、ウイルスが空中を漂い、鼻腔や口に入って感染します。
使用済みおむつの置き場所も大きな問題です。
戸田市の公立保育園では、できる限りトイレ内に置き場を作っているとのことですが、そのスペースが確保できない園では、保育スペース内の園児のロッカー内に置いているとのことでした。
国のガイドラインでは、「使用済みおむつはフタ付きの容器に廃棄する」「使用済みおむつを保育スペースに置かない」となっており、現状はいずれも守られていないことになります。
実際、この件で上級官庁にヒアリングを行った際には、戸田市の現状について驚きをもって受け止められると共に、「使用済みオムツの持ち帰りや、保育室で保管しているなどは、基準や指導以前の話」と、半ばあきれられてしまいました。
近年多くの新型ウイルスによる疾患が登場しています。
今後、ノロやロタよりも感染力も毒性も強いウイルスが登場すれば、現在のおむつ処分のやり方では、ひとたまりもなく深刻な集団感染を引き起こすと思われます。
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さらに、その他の保健・衛生面での運営内容についても調べたところ、ありました。
・園児への投薬。保護者からの依頼があっても、一部の例外を除いて、投薬を行っていない。医師の処方薬であっても不可。
・園児の歯磨き。食後の歯磨きは実施していない。保育士さんが歯磨きをしているのを見て、園児が「なぜ自分たちは歯磨きをしないの?」と質問する場面もあったそう。
これら3点(①おむつの園内処理、②園児への投薬、③園児の歯磨き)のような「保健・衛生サービス」は、多くの私立園では実施されています。
例えば、市内にある私立の認可園(全11園)にアンケートをとったところ、3つの「保健・衛生サービス」は、いずれも11園中9園が実施をしているとの回答がありました。
上記のような「保健・衛生サービス」を実施しない理由を、市側は様々挙げています。①おむつ持ち帰りは「使用済みオムツを置いておくスペースがない」、②園児への投薬は「万が一の間違いがあってはいけない」、③園児の歯磨きは「危険である」など。
一方で、私立園はそうしたハードルを工夫により乗り越え、安全を確保し、サービスを行っているわけです。
公立園は(少なくとも、)私立園のようなサービスを導入できないか検討すべきですし、もし公立園に民間並みのサービスを実施する能力が無いようなら、運営を民間に委託すべきだと考えます。
議会における、上記のような指摘に対する答弁は、「衛生管理は適正に行っているが、質問の点は公立園のサービスメニューの参考としたい」という内容のものでした。
国の衛生ガイドラインが守られていないという重大事態に対して、全く切迫感のない答弁に戸惑いすら感じました。
特に、おむつ処理の件に関しては、冬季下痢症の流行シーズンまでには対応して頂くべく働きかけていきたいと思います。
おむつ処理の件も、投薬や歯磨きの件も、いずれも園児の健康に影響する保健・衛生分野の問題です。市当局の対応を求めていくつもりです。