9月議会報告【放置自転車対策の収支改善】その①

本問題をテーマとした最初のきっかけは、市民生活委員会視察でした。
京都市で自転車安全条例についてヒアリングを行った際に、放置自転車の撤去コストについてお聞きしました。
以前から、戸田市の自転車撤去コストが1台あたり約2万円かかっていることに疑問を持っていたため、良い機会だと思い質問させて頂いたのです。
その結果、京都市では「1台あたり1千円前後」であることを知りました。
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京都市の自転車撤去
帰宅後、京都市・戸田市それぞれのご担当者と連絡を取り合い、下記のようなことが分かりました。
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●戸田市
・年間4000万円前後の予算で2000台弱を撤去
・撤去費用収入(撤去自転車の返還を受ける際に支払う料金。1台あたり2,100円)は年間80万円
→1台あたり2万円強をかけて撤去している
●京都市
・年間2億3千万円の予算で8万6千台を撤去
・返還費用収入のほか、未返還自転車(返還されなかった撤去自転車)の売却益などで1億4千万円の収入
→1台あたり1000円弱で撤去を行っている
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つまり、1台あたり20倍以上の費用をかけて撤去を行っていることになります。
分析の結果、次の3点に両市の違いが大きいと考えました。
①撤去委託料
●戸田市:年間約4000万円。月~金の6人体制。
●京都市:年間約7300万円。36人体制。夜間、土日も一部は稼働。
体制に比しての委託料金は、京都市の約3倍。
委託料の削減が可能と思われます。
②撤去自転車の返還料収入
●戸田市:20%弱。返還料は1台あたり2,100円。
●京都市:約65%。返還料は1台あたり2,300円。
返還率に3倍以上の違いがあります。
また、細かいようですが、返還料は京都市のほうが200円高く設定されています。
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戸田市は撤去自転車の保管場所が笹目7丁目(17号バイパスの向こう)と遠く、
「返還率は低く、返還料は低額」に設定されている。
京都市は撤去自転車の保管場所が駅前に確保されており、撤去を行った場所から近いため、
「返還率は高く、返還料は高額」に設定されている。
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…ということのようです。
ちなみに京都市の返還料(2,300円)がとくに高額ということはなく、他市の中には1台あたり3,000円に設定されているところも多くあります。
戸田市の場合は、撤去自転車を取りに行くのに大きな手間がかかるため、そのぶん返還料を低額に抑え、返還を受ける人の負担を調整しているとのことでした。
つまり、駅近の保管所を確保することにより、返還率を上げ、返還料の値上げを行い、返還料収入増につなげることができると思われます。
③撤去自転車の処分収入
現在、返還されなかった撤去自転車は、次のように無料で譲渡されています。
・状態の良い物は自転車商組合へ(→リサイクル用)
・状態の悪い物は衛生センターへ(→クズ鉄用)
一方、他市町村の一部では、撤去自転車の売却により、大きな収入を上げています。
・リサイクル業者向けの競売(京都市など)
・市民向けの競売会(松山市など)
こうした方法で、年間数百万円~数千万円の収入が上がっています。
1回1回の競売会の収益というのは、市予算と比べたら微々たるものかもしれません。
しかし、収益は直接市の収入になってくるので、検討していく価値があります。
少なくとも無償処分を改めて、有償の払い下げとすべきであると思われます。
ちなみに京都市では、撤去自転車の処分を競売に切り替えたところ、中古自転車を修理して販売するニュービジネスが生まれ、市収益に貢献しているだけではなく、リサイクルや産業活性化にも役立っているようです。
議会においてこれらの点を指摘し、事例を紹介しながら改善を求めたところ、担当部長から「検討する」旨の答弁がありました。
今すぐ改善するのが難しいのはある程度理解できますし、②の撤去自転車の保管場所移転などは、どちらが有利か収支の計算が必要でしょう。
しかし、同じことをするのに他市の20倍以上のコストがかかっていますので、その理由と改善策を早急に検討すべきであると考えます。
担当部長からは「検討する」という答弁がでていますので、今後の改善を期待しつつ検討内容を確認していきたいと思います。