さて、東北沿岸部の被災地域を3日間にわたって行った視察の内容です。
下図にあるのは、今回視察を行った主な地名。
これらのエリアで復興支援をされていた方の案内で、いろいろな場所を回りました。
仮設住宅、ボランティアセンター、役所、港湾、訪問医療の拠点、福祉施設…そうした場所で、震災直後に何が起こったのか?どのような物品が必要となったか?どのような準備をしておけばよかったのか?
最前線で救命・復旧活動をされた方たちから、じっくり話をうかがうことができ、戸田市の災害対策を検証するために非常に参考になりました。
震災直後の混乱期から一息ついたこの時期に行ったのが良かったと思いました。
この視察で心に残ったことは、大きく3点あります。
1.津波による災害の凄まじさ。
特に陸前高田市の広い平野は大方のがれきが撤去され、どこまでもまっ平らになっていた。その惨状が忘れられない。
これだけ広い場所が津波に洗われては、住民は逃げようがない。実際に陸前高田では2千人もの方が亡くなった。
こうした被害を日本のどの場所でも、2度とおこしてはいけない。特に、わが町戸田市では絶対に起こらないように準備しなくてはならない。
2.今回の大震災を教訓とすること。
各地でヒアリングを行って分かったことの1つは、「震災時には、全く想定していない事態が起こる」ということ。
意外な物が足りなくなり、また意外な理由で復旧作業が止まる。
東北で起こったことは戸田においても起こる公算が大きい。被災地でどのような問題が発生したのか洗い出し、一点一点、戸田の場合に置き換えて検証していく作業は必ずやらなくてはならない。
3.これまでの常識を疑ってかかるべきこと。
今回の震災では、これまで全く想定していないことが起こった。
津波が越えてくるはずのない堤防を軽々と越えてきたり、起こるはずのない事故で原発が爆発した。想定しようと思えばできたことであるにも関わらず、目を背けてきた結果だ。
戸田市の災害対策は震度6の地震や荒川堤防決壊などを想定しているが、それだけでは不十分だ。起こる可能性のある災害を1つ1つ想定し、対策をとるべきだ。
戸田市の場合は、津波の心配は少ないが、首都圏直下地震や液状化現象、洪水などの災害が想定される。
また、これまで真剣に対策がとられてきたとは言い難い、周辺国との戦争や武装難民の流入、また海外の動乱や世界経済の混乱による食糧・エネルギーの輸入ストップなども、ある程度の確率で起こりうる。
そうした災害が起こった場合、死者を全くの0にすることは困難かもしれないが、そのとき誰が何をするか、その結果どの程度の被害がでるのか、シミュレートしておくべきだ。
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今後、戸田で必要な作業として「ストレステスト」、つまり「ある程度の災害が来た場合にどうなるか」のシミュレーションを行うべきであると思う。
今後さらに、そうした考え方を含む最新の災害対策の考え方を調査して戸田市の災害対策を評価し、必要であれば改善を求めていくという作業を行いたい。
東北視察(10/17~19)その①
東北沿岸部・被災地域の会派視察を行いました。
ところで私は、多くの場合に県外視察は不要であると思っています。
私が他市の事例を調べる際には、インターネットや雑誌記事の検索を行い、さらに先方に電話をかけてお話を聞かせてもらいます。
そこまですれば大抵の情報は得られるし、時間的にも金銭的にも県外視察を行った場合と比べ、大きく節約できます。
もちろん、「現場まで行って生の話を聞かないと、本当のところは分からない」という意見もあると思います。
しかし、同じような情報を得るのに、何万円もの視察費用を税金から支出するのは、非常に気が引けます。
それでも、東北の震災復興についてはぜひ視察し、教訓を得なくてはと思っていました。
3/11の震災直後は、「たすけあい戸田」や「投票率向上キャンペーン」など地元での活動を優先したため、現地に入るのはこれが初めてです。
さて、前置きが長くなりましたが、視察の行程は、宮城県南部の亘理(わたり)から、岩手県中部の宮古まで、小さなバスの中、悪路にゆられて3日間。
ハードな視察となり、疲労のためかメンバーの雰囲気もとげとげしくなる場面もありました。
亘理町の仮設住宅(撮影許可済み)
ガソリンスタンドは非常に頑丈に作られており、震災の初期避難場所になるのだそうです。
(震災現場の写真を撮るのが憚られたため、撮ったのはこれ一枚です)
宮古市では戸田のみなさんからの募金を、山崎議員・斉藤議員から直接副市長に手渡しすることができました。
(その②に続く)
議会モニター募集(11/21まで!)
(PDF:223KB)
戸田市議会で「議会モニター」を募集しています。
議会モニターとは、議会運営に関して市民からのご意見を聴取し、議会運営に反映させることを目的に新設される制度です。
議会改革の一環として市議会が新設を決定、次年度から実施されることに。
仕事内容は、議会やホームページを見て頂き、意見・提言を表明するというもの。
議会改革には、有権者からの歯に衣着せぬご意見が、大きな力になります。
議会や議員の仕事っぷりに不満を感じる方、わが市の行政に一言、言いたいことがある方など、ぜひご応募頂ければと思います。
本ウェブページの読者の皆様には、ぜひモニターになって頂きたい。
わが戸田市のために、ご応募お願いします。
詳細は、議会ホームページに掲載。
お問い合わせは、 議会事務局 (048-441-1800 内線524・543) まで。
ちなみに、案内では「任期1年の報酬なし」となっていますが、任期の最後に1万円分(予定)の図書カードを謝礼として差し上げることになっています。ここだけの話ですが。
新・給食センター落成
去る10月5日(水)、新しい給食センターの落成式があり、出席しました。
急ごしらえの会場での落成式。
主な出席者は、市内各学校の校長先生と市議会議員、競艇組合(戸田競艇の運営組織)幹部など約50名。
テープカットは斎藤市議(文教建設委員長)、神保市長、伊東市議(戸田市議会議長)、仙波教育委員(委員長)。
うしろの窓のむこうに屋上緑化が写っています。
ところで、給食センターの建て替えについては、設計段階から多くの問題が噴出。
議会においても多くの議論を呼んだ案件ですが、この日ようやくお披露目となりました。
新しい給食センターにまつわって出てきた問題のうち、主なものは…
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①給食運搬用のエレベータのサイズを考えなかったため、運搬に支障がでた件:各学校で人力を使って積み替えることになり、人件費の増加要因に。
②運営を民間に委託する予定が、直営に戻った件:当初、運営コストの削減を目的に民間業者に委託を予定。しかし、試算してみたところ直営のほうがコストが安いという報告があり、結局は従前通り直営となった。
③周囲の道路が細いためトラックの導線が取りづらく、また妙な場所に塀を作ったためトラックの出入りがしづらい件:まずは様子見、運営をする中で改善していく。
④自校式と併存するため、コストが増加:ランニングコスト(運営費用)が従前よりも大幅増に。
⑤屋上緑化の件:戸田市の環境基準で、屋上に緑地を設ける必要があるが、メンテナンスのためのコストがかかることや、昆虫が建物周辺に発生しかねないという問題。(結局、緑地は設置)
⑥もともと競艇場の一部だった場所に建てたため、競艇場への歩道橋の階段が敷地脇の妙な場所に配置される件:やむを得ずそのまま建築。
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…等々。
私は建築の専門家ではありませんが、正直どれもこれも注意して設計すれば防げそうな問題ばかりだと思いました。
とはいえ、給食センターの管轄は教育委員会。建物の専門家というわけではありません。
その道のプロとは言えない部局が、建設を担当したことに無理があったようにも思われます。
解決策として、施設の建設や管理を行う部門(建築課や管財検査課)と、施設を利用する部門(この場合は教育委員会)を分離し、専門性の高い部局が設計段階から主導して建設し、管理を行うことがまずは必要なのかもしれません。
さて、式典の後はお楽しみの見学です。
見て楽しいばかりでなく、将来給食に関して何か問題が起こった時に、工程を把握しておくのが重要になりうると思い、できる限りすみからすみまで見ておこうと思っていました。
撮ってきた写真のうち、面白いものを紹介します。
イモ類の皮むき機。
上から入れると、全て皮のむけた状態で出てくるそう。
さすがに大きいですね。
納品された野菜を洗うシンクのスペース。
届いたばかりの材料(肉や野菜)は、菌が付いている恐れがあるそう。
調理場とは写真奥のガラス戸で、厳密に分けられています。
煮物用の釜のエリア。
お釜1つあたり、800人分もの煮炊きができるとか。
巨大な釜が並んでる様は壮観ですね。
揚げ物マシーン。
揚げ物は、油の張ってあるシンクの中を、金属製のベルトコンベアーで流れてきます。
写真奥のほう(湯気が立っているあたり)から手前のほうに流れてきて、油から出るころにはもう揚がっています。
さて、食中毒などの事故を出さないのは当然ながら、美味しさや食育、食品の安全面、コストの削減、地産地消…多くの課題の両立が求められるのが給食センターです。
それらの課題が達成されていくかどうか、今後も定期的に確認をしていきたいと思っています。
9月議会報告(速報版)
9月27日に9月議会の全日程が終了。
今回も一般質問を行いました。
①「市表彰の表彰対象を見直しては」
②「図書館を乳幼児にも使いやすく」
③「熱中症対策」
今後、市当局の対応を確認していきます。
速報として、議会だより用に書いた原稿を掲載します。
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①「市表彰の表彰対象を見直しては」
議員:現在の戸田市表彰制度において、市職員の特別職(※)が表彰対象となっている。
行政のお手盛りに対する厳しい市民感情を考慮し、表彰対象外としてはどうか。
政策秘書室長:表彰基準や制度の再検討は考えていない。
(※)特別職:選挙による選出や地方議会の同意が必要とされている職。市長や市議会議員など。
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②「図書館を乳幼児にも使いやすく」
議員:従来、図書館は乳幼児の利用にあまり配慮されてこなかった。一方、この時期に読書習慣をつければ一生の財産となる。
①図書館や各分室に、ゆったり絵本の読み聞かせができるスペースを確保する、②ベビーカーの貸出や「あかちゃんの駅」の表示を目立たせることで、保護者とその他の来館者の双方に意識を高めてもらう、③授乳室や廊下などを、乳幼児にも親しみやすい明るい雰囲気に変える、などを検討してはどうか。
教育部長:①スペースの問題はあるが、努力したい。②、③についてはLED照明に切り替えたり案内表示を出すなど、工夫したい。
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③「熱中症対策」
議員:今年も非常に多くの熱中症患者が報告されている。特に、ご老人や乳幼児、ワーキングプア世帯など夏の暑さに弱い方たちの犠牲が戸田市で増えぬよう、対応願いたい。
福祉部長:見守り、声かけによる成果が上がっている。
自殺予防週間キャンペーン④【自殺予防週間キャンペーンの紹介】
この秋、市当局により自殺予防週間に合わせたキャンペーンが実施されました。
(前の記事に掲載のとおり、戸田市のキャンペーンに合わせて私も駅頭での広報活動を実施しました)
春の自殺対策強化月間、秋の自殺予防週間に合わせたキャンペーンの実施は、これまで私が議会で訴えてきたことなので、今回の試みは大歓迎です。
その内容をご紹介します。
①図書館における「自殺対策本の特設コーナー」設置
市図書館は月替わりで特設コーナーを設置しています。
その9月のテーマを「自殺対策」にして下さいました!
6月議会で要望したのに対し即決して下さり、逆に驚きました。
臨機応変な対応に感謝です!
自殺対策の担当部局は福祉部ですが、図書館を管轄するのは教育委員会。
特設コーナー設置に当たっては、担当部局を越えてアイデアを出し合い実施されたそうです。
部局を越えた連携に賛辞を贈りたい!
こちらのコーナーです。
啓発ポスターや相談窓口の広報、チラシの配布なども同時に行っています。
ところで、図書館での広報は非常に効果が高いそうです。
それは、図書館は失業者などの居場所がない方(つまり自殺リスクの高い方)が集まり易いこと、また一般の利用者も「何かを読もう」と思って来る方が多いことが理由とのこと。
また、特別に予算がかかる事業でもないため、コスト・パフォーマンス(費用対効果)は非常に高いと思われます。
②自殺問題の講演会
自殺予防の啓発のための市民講座が実施されました!
内容は、悩んでいる人を支えている家族・友人の方を対象とした、自殺予防の基本と、すぐに役立つ対応方法についての講演です。
市民大学の認定講座としたこともあり、市職員の方を含め、聴衆70名の盛況となりました。
(※ 市民大学は、戸田市民を対象とした公開講座です)
③広報とだへの掲載
「あなたの大切な人、元気ですか?」と題した1ページ全面の特集記事が、広報とだ9月1日号に掲載されました!
内容は相談窓口の紹介や、自殺予防の方法などです。
従来、自殺問題の啓発はポスターの他、置きチラシ(市役所などに置いてあり、自由に持ち帰りできるチラシ)、市民講座などにより行われてきました。
これらの方法は、一部の方の目には触れるのですが、多くの方の関心を高めるには不向きでした。
しかし、市内の約7割をカバーする「広報とだ」に掲載されることで、従来よりもさらに多くの方の目に触れることになったと思われます。
ところで、この記事の隅に、気になる部分が…
相談支援マスコットの「ミミィ」というのだそうです。まさか相談窓口のマスコットまで作ってしまうとは…(゜o゜)!
福祉保健センターの、相談支援に対する並々ならぬ意欲の表れであると良いなあ、などと思います。
自殺予防週間キャンペーン③【戸田市の自殺問題について】
私は市議会議員として選んで頂いて以降、一貫して自殺問題に取り組んできました。
今では一部で「自殺の酒井」などと言われるまでになっています…
自殺の問題をテーマとするのは、正直言って辛いことです。一例として、精神科の医師の多くが(彼らは自殺問題のプロであるにも関わらず)、自殺により亡くなっています。
しかし、30人以上という多くの戸田市民が、毎年自殺により亡くなられています。
本人はもとより家族や周囲の方を含め、非常に多くの方が不幸のどん底に落とされている現状を何とかしない限り、議員としての責任を果たしたことにはならない。
それが、私が自殺問題に力を入れてきた理由です。
さらには、自殺は特別な人だけの問題ではありません。生活上のストレスなどによって、誰にでも身近になりうる問題です。
もしもの際に、行政の対策があると知っていれば安心できます。
ところで、戸田市の自殺率は全国平均を大きく上回っており、対策が遅れていると考えられます。
平成21年の自殺率(人口10万あたり自殺者数)を見ると、戸田市(31.7)は全国平均(25.8)を大きく上回っています。
戸田市の平均年齢が非常に若い(39才)ことを考えれば、戸田市は非常に悪い状態にあると言えます。
さて、下記はこれまでの主な活動です。
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2009年4月 大阪区堺市を会派視察(警察と連携しての自殺未遂者支援)
2009年6月 議会において自殺問題に関する一般質問を実施
2010年2月 健康福祉委員会に所属、年間テーマとして自殺問題を採用
2010年5月 健康福祉委員会で札幌市を視察(総合的な自殺対策)
2010年6月 議会において自殺問題に関する一般質問を実施
(2010年度)市が自殺問題の啓発チラシを戸別配布、アンケート調査を実施
2011年3月 議会において自殺問題に関する一般質問を実施
2011年6月 議会において自殺問題に関する一般質問を実施
2011年9月 戸田市で初めて自殺予防週間に合わせた啓発活動が実施される
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自殺対策の拡充を、所管の医療保健センター(現福祉部)に対し、継続して働きかけてきました。
また、それと同時に、会派内や委員会内における取り組みテーマとすることで、市議会内で自殺対策推進の世論を作るべく試みてきました。
その結果、ゆっくりではありますが、自殺対策の取り組みがなされるようになってきています。
2010年度には県補助金を利用してのチラシ作成やアンケート調査の実施、またこの9月には自殺予防週間に合わせた広報活動などが行われるまでになりました。
しかしながら現在のところ、これまでの取り組みがはっきりとした効果が表れるまでにはなっていません。まずは自殺率を全国平均に抑えることを目指し、その先には自殺者0(ゼロ)を目標とすべきだと考えます。
自殺予防週間キャンペーン①キャンペーン初日【9/13(火)】
内閣府が平成19年に設定した「自殺予防週間」(9/10~16)に合わせ、個人的に街頭キャンペーンを実施しています。
キャンペーンの目的は、戸田市の総合相談窓口のPR。
自殺は特別な人の問題ではありません。失業や病気、家族との死別など、生活上のストレスによって誰にでも身近になり得る問題です。
だからこそ、「いざという時(つまり、自殺が身近になった時)には気軽に相談できる窓口があるのだ」ということを、より多くの方に知っておいて頂く、というのが狙いです。
(ちなみに、相談窓口の認知度は17%。まだまだ知られていないのが現状です)
さて、9/13(火)早朝、キャンペーン初日は戸田公園西口で実施。ボランティアの大学生3人が参加してくれました。
写真をたくさん撮って送って下さったので、紹介します。
最初にこんな看板を立てました。
みんなでヘッドセット(頭につけるマイク)を使って、かわるがわるマイクアピールをしながらチラシを配布。
楽しい活動になりました。
最初はチラシを棒読みするだけだった彼も、、、
しばらくするとチラシを配りながらしゃべってました。
いつもより心なしか楽しそうな私(笑)
キャンペーンは10月前半まで、市内の各駅で実施予定です。
9/4(日)サロンコンサート
市内にお住まいの方からお招きいただき、聴きに行きました。
場所は戸田市文化会館ロビー、演者は戸田交響楽団、響友会合唱団ほかです。
ほぼ満席の大盛況。
歌声の音色は美しく、演目も飽きさせない工夫がなされているようでした。
2時間に及ぶ公演時間は瞬く間に終了。
長年にわたる素晴らしい活動に感銘を受けるとともに、私たち市民の心を豊かにする文化活動に誰もが参加できる環境の整備をさらに進める必要があると感じました。
戸田市の貧困ビジネスについて
議員活動のため戸田市内をくまなく回っていると、汚い寮のような、異様な施設に出くわすことがあります。調べてみると、この施設は「無料低額宿泊所」といい、ホームレスを収容する民間の施設であることが分かりました。
戸田市はこの「無料低額宿泊所」が特に多く、400人以上ものホームレスの方を収容しており、わが市の福祉予算が大きく費やされています。
これらの施設は「無料低額」と言っても、実際は無料でも低額でもありません。生活保護として給付される十数万円ぎりぎりの費用を徴収しています。
また、住環境も悪く、ある施設では8畳の広さの1部屋を、ベニヤ板で3つに仕切って使っているとのことです。これは埼玉県の施設基準に反しています。
※ 埼玉県の施設基準では、「居室使用料は、無料または低額なものとすること」、また「1つの居室は、原則として2以上の世帯に利用させないこと」「1人あたり居室面積4.5m2を最低基準とすること」「居室の出入り口は硬質な扉とする」などの規定があります。
今から8年前の戸田市議会の議事録に、これらの施設について述べた「よくあんなところに住めるな」という当時の議員の発言が記録されています。
状況は今も変わりなく、失業し住居を失った、傷ついた男たちの行きつく先がこれかと、同情を禁じえません。
違法状態で経営されているのが常態化している他、これまでに多くの問題が新聞紙上で指摘されてきました。戸田市の貧困ビジネスについて、ここ数年だけで次のような問題が取り上げられています。
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2009年3月「生活保護費ピンハネ?元派遣男性を半月“軟禁”」(生活保護費の強制徴収やそれを実行するための施設利用者の軟禁、預金通帳の管理)産経新聞
2009年9月「大手事業者、保護費2.5憶円が使途不明、自治体に説明拒否」毎日新聞
2010年7月「低額宿泊所:脱税、運営者有罪」毎日新聞
2011年5月「好条件並べ勧誘、貧困ビジネス提訴」朝日新聞他
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虚偽の求人により勧誘を行い生活保護費をだまし取るという手口の詐欺行為、運営者の脱税や不明朗な会計処理による利益処分、生活保護費の強制徴収やそれを実行するための施設利用者の軟禁、預金通帳の管理、などなど(!!!)。一昔前に流行語になった「疑惑の総合商社」という言葉が思い出されます。
これだけの問題が噴出していながら、国・県・市のいずれの動きも乏しいのが現状です。
この問題を調査して見えてきたのは、国・県・市の3者による責任押し付け合いの姿です。口々に、「問題は無い」、「うちの管轄ではない」…面倒な問題には関わり合いになりたくない、という雰囲気をひしひしと感じました。
こうした押し付け合いで不利益をこうむるのは、福祉予算を負担している納税者と、自立支援を受けるべきホームレスの方たちです。
私は本問題について、これまでも委員会や非公式なヒアリングなどで要望を行ってきましたが、改善される兆しはありませんでした。そこで、議会において本件につき問題として提起。
市の問題として、現状把握の甘さがあります。例えば「市外から何人のホームレスが流入して(業者に連れて来られて)いるのか」すら調査していないのが現状です。
まずはデータを整理し、国や県に対して強力に、制度改正や協働の働きかけをしつつ、ある程度の負担増を市でも覚悟して自立支援の改善を行うのが道筋であるとし、要望を行いました。
本件は、市当局との間で見解の相違が多々見られたものの、最終的には「取り組んでいく」との答弁がありました。
今後は、市当局の取り組みを確認しつつ、県会議員との連携により県への働きかけを強めたいと考えています。