議会報告(詳細版)

【自殺対策については、石にかじりついてでも実現するつもりです】
去年から取り組んでいる、戸田市の自殺問題。
市執行部に問題があることを認めてもらい、委員会(健康福祉委)のテーマに選んでもらうなど、着々と自殺対策の導入に向け前進していると、内心成果を喜ぶ気持ちすらありました。
自殺問題を担当する医療保健センターからは、「できることから対策を進めている」旨、聞いていました。
【ご参考】
自殺問題①
自殺問題②【戸田市の現状は?】
自殺問題③【自殺対策は必要ですか?】
自殺問題④【質問準備】
自殺問題⑤【議場のやりとり】
ところがその後、平成21年の戸田市民の自殺者数を見て驚きました。
戸田市民の自殺者はこの10年間、毎年20名前後であったのが、平成21年には36名とほぼ倍増。平成20年の自殺者数21人から15人も増加しています。戸田市の歴史で初めて、自殺者30人の大台を突破。自殺率(人口10万人あたりの自殺者数)は県内ワースト2になりました。
私はこの数字に衝撃を受けました。それは、1年前に自殺の問題を知りながら去年の自殺者急増を防げなかった、そのことに対する「しまった!」という後悔です。
さっそく、自殺問題を担当する医療保健センターに対しヒアリングを行いました。
医療保健センターからは、1年前つまり平成21年6月議会で、次のような答弁を得ています。
・実態把握を行う。
・人材の確保や育成を行う。
・庁内の関係各課や各種相談窓口とのネットワーク化を密にする。
(※相談窓口:戸田市には多重債務や悩み事などの相談窓口がある。自殺リスクが高い人が多く訪れる)
・警察署、救急医療機関、精神科の病院など、関係機関との緊密な連携や情報共有を図る。
ところが、よく確認したところ…
・実態把握は、公表されているデータと、県警からもらったデータだけ。分析は未着手。
・人材確保は実施しておらず、これからも行わない公算大。人材育成は、職員を県などの研修に送っている(しかし、体系的な研修、専門性の高い研修は無いと思われる)。
・庁内の連携体制は不足。各種相談窓口との情報共有すら未着手。
・外部の機関との連携は、県警から自殺者数などのデータをもらったことのみ(他は未着手)。
つまり、1年前と比べてほとんど対策が進んでいないということです。
そればかりか、平成21年の戸田市の自殺者数(36名)という初歩的なデータさえ、だれも知らないというありさまでした。
こうした現状を重くとらえ、対応を促すため、下記のような論点で6月議会で一般質問を行うことに。
・戸田市の自殺対策は大きく不足している。
・人が足りないなら、増やしてでも対策を進めるべきだ。
それに対する、医療保健センターの回答は下記。
・戸田市の自殺対策は、できる範囲でやっている。
・人の増員はむずかしい。
医療保健センター事務長と、何度か「打ち合わせ(※)」を行いましたが、話は平行線。
妥協の余地もないため、こちらの質問項目のみ提示し、あとは議場で論戦を行うことになりました。
そして、前回掲載したようなやりとりを議場で行ったのです。
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※「打ち合わせ」とは・・・議会での質問の前に、行政の担当者と行います。質問や答弁の内容について、だいたいの内容を確認します。
打ち合わせしてから論戦を行うなど、おかしな話に思えます。しかし、事前にどのようなことを質問するのか分かっていないと答弁しようがない内容もあるため、ある程度の打ち合わせは必要だと思っています。
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自殺者が1年で2倍になったというのは、非常事態であると考えます。その原因を究明して、なんとしても早急に手を打たなくてはならない。
一方、市幹部の答弁は紋切り型の官僚答弁に終始。とても危機感が感じられませんでした。
前回の記事のように、議場における論戦は完全なもの別れに終わりました。しかし、行政の自殺対策により、来年10人とか20人とかの人の命が救われるかもしれない。そう思えばやすやすとひき下がるわけにはいきません。
今後、自殺対策については石にかじりついてでも導入を実現していくつもりです。
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現在まで、市長、副市長との非公式な話し合いの中で自殺の状況の深刻さを説明し、「自殺対策をやっていく」という方向性については同意を頂きました。
今後、具体的な内容や導入スケジュールについても提案していきたいと思っています。