9月議会報告【放置自転車対策の収支改善】その①

本問題をテーマとした最初のきっかけは、市民生活委員会視察でした。
京都市で自転車安全条例についてヒアリングを行った際に、放置自転車の撤去コストについてお聞きしました。
以前から、戸田市の自転車撤去コストが1台あたり約2万円かかっていることに疑問を持っていたため、良い機会だと思い質問させて頂いたのです。
その結果、京都市では「1台あたり1千円前後」であることを知りました。
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京都市の自転車撤去
帰宅後、京都市・戸田市それぞれのご担当者と連絡を取り合い、下記のようなことが分かりました。
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●戸田市
・年間4000万円前後の予算で2000台弱を撤去
・撤去費用収入(撤去自転車の返還を受ける際に支払う料金。1台あたり2,100円)は年間80万円
→1台あたり2万円強をかけて撤去している
●京都市
・年間2億3千万円の予算で8万6千台を撤去
・返還費用収入のほか、未返還自転車(返還されなかった撤去自転車)の売却益などで1億4千万円の収入
→1台あたり1000円弱で撤去を行っている
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つまり、1台あたり20倍以上の費用をかけて撤去を行っていることになります。
分析の結果、次の3点に両市の違いが大きいと考えました。
①撤去委託料
●戸田市:年間約4000万円。月~金の6人体制。
●京都市:年間約7300万円。36人体制。夜間、土日も一部は稼働。
体制に比しての委託料金は、京都市の約3倍。
委託料の削減が可能と思われます。
②撤去自転車の返還料収入
●戸田市:20%弱。返還料は1台あたり2,100円。
●京都市:約65%。返還料は1台あたり2,300円。
返還率に3倍以上の違いがあります。
また、細かいようですが、返還料は京都市のほうが200円高く設定されています。
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戸田市は撤去自転車の保管場所が笹目7丁目(17号バイパスの向こう)と遠く、
「返還率は低く、返還料は低額」に設定されている。
京都市は撤去自転車の保管場所が駅前に確保されており、撤去を行った場所から近いため、
「返還率は高く、返還料は高額」に設定されている。
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…ということのようです。
ちなみに京都市の返還料(2,300円)がとくに高額ということはなく、他市の中には1台あたり3,000円に設定されているところも多くあります。
戸田市の場合は、撤去自転車を取りに行くのに大きな手間がかかるため、そのぶん返還料を低額に抑え、返還を受ける人の負担を調整しているとのことでした。
つまり、駅近の保管所を確保することにより、返還率を上げ、返還料の値上げを行い、返還料収入増につなげることができると思われます。
③撤去自転車の処分収入
現在、返還されなかった撤去自転車は、次のように無料で譲渡されています。
・状態の良い物は自転車商組合へ(→リサイクル用)
・状態の悪い物は衛生センターへ(→クズ鉄用)
一方、他市町村の一部では、撤去自転車の売却により、大きな収入を上げています。
・リサイクル業者向けの競売(京都市など)
・市民向けの競売会(松山市など)
こうした方法で、年間数百万円~数千万円の収入が上がっています。
1回1回の競売会の収益というのは、市予算と比べたら微々たるものかもしれません。
しかし、収益は直接市の収入になってくるので、検討していく価値があります。
少なくとも無償処分を改めて、有償の払い下げとすべきであると思われます。
ちなみに京都市では、撤去自転車の処分を競売に切り替えたところ、中古自転車を修理して販売するニュービジネスが生まれ、市収益に貢献しているだけではなく、リサイクルや産業活性化にも役立っているようです。
議会においてこれらの点を指摘し、事例を紹介しながら改善を求めたところ、担当部長から「検討する」旨の答弁がありました。
今すぐ改善するのが難しいのはある程度理解できますし、②の撤去自転車の保管場所移転などは、どちらが有利か収支の計算が必要でしょう。
しかし、同じことをするのに他市の20倍以上のコストがかかっていますので、その理由と改善策を早急に検討すべきであると考えます。
担当部長からは「検討する」という答弁がでていますので、今後の改善を期待しつつ検討内容を確認していきたいと思います。

9月議会報告(速報版)

昨日(9/26)、9月議会が閉会しました。
今議会に行った一般質問の概要について、議会だより用に書いた原稿を掲載します。
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「放置自転車対策事業の収支改善を」
議員:自転車撤去コストは戸田市の1台あたり2万円強に対して例えば京都市では1千円弱。20倍以上の開きがある。
委託料金の抑制など収支改善に取り組んではどうか。
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質問中の酒井
市民生活部長:早急なコスト削減は難しいが、検討していく。
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答弁中の市民生活部長
「非常時の給水について」
議員:断水への備えを強化する必要がある。
①各家庭における備蓄は、正しい方法で実施すればほどんど手間もコストもかからない優れた方法である。広報による呼びかけを強化してはどうか。
②マンションや公共施設などの貯水槽には、1か所あたり数十トンの水が常時貯留しているが、断水時には取り出せないため利用はできない。そこで、貯水槽にあらかじめ給水栓を設置しておくことにより、断水時でも利用できるようにする方法がある。非常に簡便・安価な方法であり、しかも大量の水を確保できる。
上下水道部長:①備蓄の実態調査を行い、また一層の啓発活動を実施し呼びかけたい。
②大変有効な方法である。十分検討したい。
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答弁中の上下水道部長
議員:これら2つの方法はどちらもほとんど予算を使わずに大きな効果が期待できる。
非常時の備えは大切であるが、同じ効果ならばコストのかからない方法を採用してほしい。
その他の質問
Q:SNSを公聴や災害情報の発信手段として整備してはどうか。
A:重要な手段ととらえている。今後の課題として研究したい。

大叔父について②

私の大叔父について紹介するシリーズ第2回です。
99式艦爆1
大叔父の搭乗機(同型機)。
車輪は出たままの固定脚だった。
99式艦爆2
真珠湾作戦・発艦直前の空母上。
戦闘機・爆撃機が入り混じりひしめき合っている。
99式艦爆3
発艦する搭乗機(同型機)。
99式艦爆4
空母を後にする搭乗機(同型機)。
短い飛行甲板での発着は熟練が要った。
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祖母は生前よく大叔父のことを「かわいそうだ」と言っていた。
祖母にとってたった一人の弟の死に方が、よほど不憫だったのだろう。
祖母は、大叔父のことが書いてある記事(新聞、雑誌など)を全て大切に保存していた。
特に「少年倶楽部」誌(軍国少年のバイブルとされた少年誌)は多くのページ数を使って大叔父が家族に書き送った手紙や写真が掲載されたものだった。
家族宛の手紙は命を捨てるきっぱりとした覚悟に満ちたものであり、写真は二十歳前の若者とは思えない貫禄ある容貌である。
どこを切っても金太郎飴のように「強さ」しか出てこない、強さのかたまりのような印象を持った。赤ちゃんのころの写真までも掲載されていたが、それすら貫禄あふれる赤ちゃんなのだから、これはかなわんと思った。
(前回掲載の写真はどちらかというと飄々とした感じで、だいぶ印象がちがうのですが…撮影時期の違いか、または写真映りのせいでしょうか)
さて、大叔父は太平洋戦争の緒戦「真珠湾奇襲」に加わった6隻の空母の1隻「加賀」から攻撃隊の一員として出撃した。
攻撃隊はゼロ戦を主力とする戦闘機と、「艦攻」「艦爆」と呼ばれる爆撃機から成る。
戦闘機は敵機の撃墜や爆撃機の護衛、爆撃機は魚雷や爆弾の投下が主な任務である。
当時、世界最強の戦闘機「ゼロ戦」は一人乗りで軽量、搭乗員の練度も高く、次々敵機を落としたという。
一方の爆撃機は2人乗り(または3人乗り)で速度も遅く、おまけに敵艦にできるだけ近付いて魚雷や爆弾を落とすという作戦の性質上、危険度が高く、「運を天に任せる」ような部分があった。
大祖父は中でもとりわけ危険な「急降下爆撃機」の搭乗員であった。
急降下爆撃というのは、敵艦船に向けて急降下し、ぎりぎりまで近付いて爆弾を落とすという捨て身の攻撃で、当然ながら敵艦からの対空砲火の餌食になったり、また敵戦闘機に撃たれたり、急降下後の操縦ミス(機首の引き上げの遅れ)で海面に突っ込んだりと、未帰還率が高かったようである。
真珠湾作戦においては2次にわたる攻撃が行われ、不意を突いた1次攻撃に続く2次攻撃は、敵の準備が整った後であったため、特に未帰還が多く出たという。
大叔父は2次攻撃隊だった。
大叔父の搭乗機は「九九式艦爆」という当時の新鋭機だが、防弾性能が低く、流れ弾が一発当たるだけで火を吹くようなもろさであったこと、また対空火力も弱く、速度や操作性も戦闘機と比べて大きく劣っていたため「九九式棺桶」などと揶揄された。
防弾性能が低いのは、装甲を薄くし、防弾装置を省いて重量を減らしてスピードを確保する意図だそうだが、人命無視の設計思想はひどいもんである。
当時の爆撃機搭乗員で、終戦まで生き残った者はほとんどいないとのこと。
真珠湾攻撃隊の搭乗員は皆、自身が作戦から生きて帰還することは無いと考えていたようである。
大叔父はそれでも出撃し、実際、未帰還となった。
大叔父の最期については僚機による確認がされていないが、他の多くの未帰還機と同様、敵の対空砲火により致命的な損傷を受け、自爆攻撃を敢行したのではないかとされている。
(続く)
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本稿の作成を機に、大叔父の生涯を正確に知りたいと思い、現在厚生労働省に大叔父の軍歴を照会中です。
次回は省からの回答を待ち、掲載いたします。

大叔父について①

終戦記念日に寄せて、真珠湾に散った大叔父のことを紹介します。
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今日は終戦記念日。
戦争の悲惨さ、平和と祖国防衛の大切さをあらためて感じると同時に、一人の人物のことを強烈に思う。
その人物の名前は南崎常夫、私の祖母の弟(つまり大叔父)。太平洋戦争の口火を切ったハワイ真珠湾奇襲における、爆撃機の搭乗員である。
九九式艦上爆撃機による急降下爆撃の任務にあたり、未帰還となった。
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大叔父とその愛機
上の写真は、最近発売された雑誌に掲載されていたものである。
写真で見る大叔父は若く、その表情はあくまで力強くふてぶてしく、剽悍な気配を漂わせている。
70年以上も前に亡くなったにも関わらず、私の心に大きな影響を与え続けるこの人物について次回以降、紹介したい。

12.6議会報告【駅前喫煙所】

駅近辺の喫煙所や歩きたばこについては、市民の方から頻繁にご意見を頂きます。
以前にウェブページでも記事として取り上げました。
(ご参考:「駅前の路上喫煙」)
担当部局や「市長への手紙」などにも多くのご意見が寄せられており、市政に対する不満の原因になっていると思われます。
世の中の流れは禁煙が優勢ですが、スペースや予算が許す範囲で、喫煙所の確保を行うのが基本であると考えます。
しかしながら、北戸田駅西口、また戸田駅東口の喫煙所は、歩道に面しており、歩行者の通行量も多いため、対策が必要であると思われます。
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北戸田駅西口の喫煙所
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戸田駅東口の喫煙所
北戸田駅西口の写真左端に立ってる方、また戸田の写真左端の植え込みに座っている方は、いずれも喫煙中の方です。
どちらの喫煙所でも、歩道にまではみ出して喫煙されているため、歩行者が煙を避けられない状態となっています。
私は、3つの選択肢があると考えています。
①喫煙所周囲の地面に枠線を引く方法。
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枠線による分煙の例(田町駅の喫煙所)
簡便な方法ですが、喫煙者が白線の外側にはみ出すなど効果に限界があります。この写真でも、手前の方に写っている何人かは、白線の外側で喫煙しています。
②喫煙所の周囲にパーティション(仕切り)を設置する方法。
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パーティション(仕切り)による分煙の例(後楽園駅の喫煙所①)
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(後楽園駅の喫煙所②) 
歩道の側だけパーティションを立て、歩道の反対側は②の写真のとおり緑地に向かって解放されています。
そのため、パーティション内の煙も思ったほどこもってはおらず、また歩道には煙の臭いはほとんどもれていませんでした。
実際、以前は苦情の絶えない場所だったようですが、文京区当局によれば、この方式にしてから苦情がなくなったとのこと。
ちなみに後楽園駅のパーティションは、JT(日本たばこ)の全額負担で設置をされたそうです。
③灰皿を移動(撤去)する方法。
数年前に、苦情の多かった戸田公園東口の喫煙所を、試行錯誤の末に撤去しました。
①、②などの方法で対処不能であれば、③も止むを得ません。
①~③の方法を、北戸田駅西口、戸田駅東口の各喫煙所に当てはめてみると、以下のようになると思われます。
北戸田駅西口:②パーティションを設置すれば解決するように思われる。パーティションを設置するのに十分なスペースがある上、歩道の反対側には芝生の広いスペースがあるので、そちら側を解放すれば煙もこもらないはず。
戸田駅東口:②パーティションを設置できればベスト。歩道側に立てて車道側に煙を逃がす設計が考えられる。スペース的に難しいようなら、③の移動も考えなくてはならない。
いずれの対策を実施するにしても、それまでの間は、①白線を引く、というのをお願いしたい。これなら道路課その他との調整も問題は少なく、予算も多くは必要無く、一定の効果は期待できます。
議会においては、写真入りの資料を配布し、上記のような試案を述べたところ、「検討します」という答弁がありました。
わが町の将来を左右するような大きな課題ではないかもしれませんが、市民の関心の非常に大きな課題です。
今後は実現へ向けてフォローしていきたいと思います。
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後日(8月1日)、戸田市主催の「ポイ捨て等及び歩行喫煙をなくす条例啓発キャンペーン」に参加しました。
その際、この行事にスポンサーとして参加されていたJT(日本たばこ)の方をご紹介頂き、戸田駅、北戸田駅の喫煙所の現状と、市民の関心の高さ、改善へ向けてのアイデアについて、現場を見ながらお話させて頂きました。
特に、後楽園のようなパーティションの設置をぜひ、、、とお願いしたところ、「市ご担当者と検討させてもらいます」とのコメントがありました。
JTの賛同が得られれば課題解決へ向けての大きな力になるため、今後の市当局の交渉に期待したいと思います。

6月議会報告【公立保育園の使用済みおむつ】

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先日、公立保育園について保護者の方から話をお聞きする機会がありました。
その際に初めて知ったのですが、戸田市の公立保育園(全8園)では、園児がうんちやおしっこをした後の使用済みの紙おむつを(園では廃棄処理せず)保護者が持ち帰るきまりになっているとのことでした。
私は以前、保育所を運営する会社に勤務していたことがありますが、使用済みの紙おむつは園で捨てるのが当たり前だと思っていたので、こうした実態を聞いて大変驚きました。
(サービス面、衛生面のどちらの面から見ても考えられないことでした)
経験された方なら分かると思いますが、使用済みのおむつはビニル袋に入れていてもニオイがもれてきます。夏場に半日もたったらかなりきつい。
保護者の中には、もう慣れてしまって「何とも思わない」という方もおられるようですが、バスや電車など公共交通機関で帰る方、帰りに買い物をされる方などは特に、匂いが漏れるのが気になるという方も多いようです。
不便なだけでなく、衛生面も大いに疑問です。
オムツをビニル袋に入れて縛る場合、相当厳格な手順を踏まなければ、糞便の一部はビニル袋の外側に付着します。
ノロウイルスなどは100個以下のウイルスでも感染します。極めて微量であっても、ビニル袋に付着した糞便が乾燥すれば、ウイルスが空中を漂い、鼻腔や口に入って感染します。
使用済みおむつの置き場所も大きな問題です。
戸田市の公立保育園では、できる限りトイレ内に置き場を作っているとのことですが、そのスペースが確保できない園では、保育スペース内の園児のロッカー内に置いているとのことでした。
国のガイドラインでは、「使用済みおむつはフタ付きの容器に廃棄する」「使用済みおむつを保育スペースに置かない」となっており、現状はいずれも守られていないことになります。
実際、この件で上級官庁にヒアリングを行った際には、戸田市の現状について驚きをもって受け止められると共に、「使用済みオムツの持ち帰りや、保育室で保管しているなどは、基準や指導以前の話」と、半ばあきれられてしまいました。
近年多くの新型ウイルスによる疾患が登場しています。
今後、ノロやロタよりも感染力も毒性も強いウイルスが登場すれば、現在のおむつ処分のやり方では、ひとたまりもなく深刻な集団感染を引き起こすと思われます。
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さらに、その他の保健・衛生面での運営内容についても調べたところ、ありました。
・園児への投薬。保護者からの依頼があっても、一部の例外を除いて、投薬を行っていない。医師の処方薬であっても不可。
・園児の歯磨き。食後の歯磨きは実施していない。保育士さんが歯磨きをしているのを見て、園児が「なぜ自分たちは歯磨きをしないの?」と質問する場面もあったそう。
これら3点(①おむつの園内処理、②園児への投薬、③園児の歯磨き)のような「保健・衛生サービス」は、多くの私立園では実施されています。
例えば、市内にある私立の認可園(全11園)にアンケートをとったところ、3つの「保健・衛生サービス」は、いずれも11園中9園が実施をしているとの回答がありました。
上記のような「保健・衛生サービス」を実施しない理由を、市側は様々挙げています。①おむつ持ち帰りは「使用済みオムツを置いておくスペースがない」、②園児への投薬は「万が一の間違いがあってはいけない」、③園児の歯磨きは「危険である」など。
一方で、私立園はそうしたハードルを工夫により乗り越え、安全を確保し、サービスを行っているわけです。
公立園は(少なくとも、)私立園のようなサービスを導入できないか検討すべきですし、もし公立園に民間並みのサービスを実施する能力が無いようなら、運営を民間に委託すべきだと考えます。
議会における、上記のような指摘に対する答弁は、「衛生管理は適正に行っているが、質問の点は公立園のサービスメニューの参考としたい」という内容のものでした。
国の衛生ガイドラインが守られていないという重大事態に対して、全く切迫感のない答弁に戸惑いすら感じました。
特に、おむつ処理の件に関しては、冬季下痢症の流行シーズンまでには対応して頂くべく働きかけていきたいと思います。
おむつ処理の件も、投薬や歯磨きの件も、いずれも園児の健康に影響する保健・衛生分野の問題です。市当局の対応を求めていくつもりです。

6月議会報告【外郭団体について②】

前回の記事に引き続き、外郭団体についての議会報告。今回は「埋蔵金」に関する件です。
以前の記事(ご参考:3/23(金)戸田市の埋蔵金)で、「戸田市国際交流協会」の基本財産2億円余りについて、全く活用されずに眠っている、つまり「埋蔵金」化している問題を指摘しました。
今回さらに、市当局への聞き取り調査の結果、憂慮すべき事実が判明しました。
その事実とは、2億円余りの基本財産が、元は戸田市が出したお金であるにもかかわらず、現在は完全に「戸田市国際交流協会」のものになってしまっている、ということです。
分かりづらいのですが、この2億円余りは、元は市民の税金であっても、現在は戸田市のものではないので、協会を解散する際や、それ以外の時でも、協会の自主的な意思決定によって市の意図に沿わないことに使われてしまう恐れがある、ということになります。
この2億円余りの基本財産の処分の仕方ですが、規約によれば、「法人又は国若しくは地方公共団体に贈与する」と定められています。
つまり、個人以外のあらゆるところへ移転される恐れがあるということであり、戸田市が意図しないような使途で使われることも考えれます。
こうした事態は、現時点の理事会メンバーでは考え辛いことですが、定款上理事の資格に制約は無いため、今後だれが理事会メンバーになるか分かりません。
これから先も続くと思われる、協会の長い歴史の中では、基本財産の流用は、十分にありえると見なくてはなりません。
幸いなことに、協会の常務理事から、評議員会の場において「市への返還も検討の余地がある」旨の答弁を得ています。
協会の側がそうした柔軟な態度であるうちに、手続きを進めてしまうべきではないでしょうか。
更に言えば、この2億円余りの処遇については、市への返還にこだわる必要はありません。巨額の基本財産が生かされるならば、他の方法でも構いません。
まずは財団法人制度や事例の調査に着手すべきと考えます。
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議会において、こうした一連の質問を行ったところ、市当局からの答弁は、先に掲載の通り「協会のガバナンスは確立されている」「当初、市から支出されたお金であっても、現在は返還を請求する権利は無い」という大変後ろ向きなものでした。
(ご参考:6月議会報告(速報版)
確かに協会は厳密な意味で市の支配下にある団体ではありませんが、その原資は市から出ているのですし、その事業は市の国際交流事業として、市民にダイレクトに影響する問題です。
また、2億円余りの基本財産に関しても、確かに法的に返還を請求する権利は無いのでしょうが、だからといって元は市民のものだった税金が、戸田市と関係のないことに使われかねない状況に置きつづけても良いというのでしょうか?
こうした市民生活の面でも金銭的にも、市民の利益に直結する問題に対して市当局の関心が極めて薄いのは大変残念なことです。戸田市や市民の利益を守ろうという意思を持って頂きたいと感じます。
更にいえば、ガバナンスや基本財産等についての問題は、国際交流協会に限ったことではなく、外郭団体全般に共通の課題と思われます。
例えば、公園緑地公社という外郭団体には、国際交流協会と同じような経緯の基本財産3.5億円が戸田市から出資されていますし、組織の形態も類似しています。
ガバナンスの問題や、余分な基本財産の回収(=市への返還)など、市全体の方針として取り組んでいくべきであると考えます。
本件に関しては、今後も私なりに現実的な対応を検討していきたいと思っています。

6月議会報告【外郭団体について①】

外郭団体の問題の一部については、数ヶ月前にブログに掲載しました。
(ご参考:3/23(金)戸田市の埋蔵金
この記事を掲載した時は、主に「戸田市国際交流協会」という外郭団体(※)の2億円余りの「埋蔵金」についてのみ論じました。
(※外郭団体=戸田市が出資する団体のこと。「国際交流協会」は、正確には外郭団体ではないそうですが、分類上、大差ないと判断し、ここでは外郭団体に含めます)
3/23(金)に記事を掲載後、追加調査を行い、更に大きな問題の存在が発見されたため、議会での問題提起を行いました。
ここで一点、お断りしておきたいのは、「戸田市国際交流協会」の活動自体に疑問を呈しているわけではないということです。
多くの市民の方が協会の事業に協力し、ボランティアとして草の根の国際交流活動を行っています。協会の問題点を解消し、私たち市民が安心して活動できるようにすべきだと考えます。
下に、「戸田市国際交流協会」の(③、④については、その他の外郭団体も含む)問題点を挙げます。
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①議会からのガバナンス(※)が利いていない。
(※ガバナンス=組織における意思決定、執行、監督のシステム)
例えば、先月5月に実施された理事会と評議員会において、恒例のオーストラリアにおけるホームステイ先が、リバプール市ではなくシドニーに変更になった旨、またリバプール市との友好交流とは一切関係なく実施される旨の報告がありました。
つまり、戸田市の重要な国際交流政策が、市議会に諮られることも無く、それどころか報告もされず、変更されようとしている、ということになります。
市議会議員の理事や評議員もいますが、数名づつと少数ですし、理事会・評議会の開催の日時は5月半ばですので、議会の平成24年度予算審議にも反映しようがありません。つまり議会からのガバナンスが利いていないことになります。
②補助金の支払者である戸田市からのガバナンスも利いていない。
例えば、3月の評議員会で、評議員の1人から、協会の人件費率が高すぎるという指摘がなされました。あとから聞いたところ、市当局としても問題として認識しているとのことですが、いまのところ改善されておらず、それどころか、最近も人件費は上昇し、その分も含めた補助金を支払っていると聞いています。
(ちなみに、協会の人件費率は53%ですが、これを世の中の企業と比較してみますと、中小企業庁が発表するデータの中で、協会の業務内容に最も近いと思われる業種は「広告代理業」になると思われますが、その標準的な人件費率は19%です。3倍近い開きがあります。)
こうした意見がなぜ反映されないかというと、やはりガバナンスに問題があると考えます。
評議員会における「人件費率が高すぎるのではないか」という指摘ですが、それ以外にも評議員会当日、いくつかの意見がでました。
当時の定款上、「理事会は議決の前に評議員会の意見を聞かなければならない」となっています。しかしながら、それらの(主には協会にとって耳の痛い)意見は、直後の理事会では一切触れられることは無く、それどころか予算などの原案が承認された・されないという、基本的なことすら報告がなされませんでした。つまり、評議員会は開催だけはされても、理事会が意見を受けたことにはならなかったということです。
定款の最重要部分ともいえる、協会の意思決定過程に沿っておらず、内部統制が利いていないことが、評議員や市当局からの意見が反映されない一因であると思われます。
③外郭団体トップの問題。
外郭団体トップには市OBの方が在籍しておられます。それらの方は、市役所内部を知り尽くしているだけあって、市とうまく連携を取り、事業を推進されていることも多いのではないかと想像します。その意味で、私は市OBが外郭団体に再就職することに、必ずしも反対ではありません。
しかし、もし仮に、市OBが外郭団体側に有利になるよう積極的に動くとすれば、かつての部下や後輩である現役職員は、業務の発注者として、かなりやりづらいだろうと想像します。
具体的な内容は伏せますが、ある外郭団体に在籍する市OBが市役所内部の会議にまで出席し、頻繁に発言するという事例が見られました。担当職員によれば、「出席させるべきではない、ということは分かっていても、むこうが出席するというものを断るわけにもいかない」とのことでした。
この例のようなことが日常的に起こっているとすれば、市OBが役所内の会議にまで出席し、所属する外郭団体の権益を守るべく政治力を発揮しているのが現状であるということです。
これでは、市から外郭団体への業務委託の適切性に疑念が生じるのはもちろんのこと、市OBの外郭団体への再就職という慣例自体が適切であるかどうか、ということにも関わる問題だと思います。
④理事会、評議員会のメンバー構成の問題。
理事会や評議員会は、株式会社における取締役会に当たる大切な機関です。
しかしながら、理事や評議員はアテ職(ある団体の役職が外郭団体の理事・評議員を兼任するとして、自動的に決めらえれている)や市OBが多く、内部統制の役割を果たしていないのが現状です。
理事会・評議員会は形がい化し、本当の課題が議論されないということが起こっていると思われます。
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これらの問題は、3月以降、苦労しながら調査してようやく分かってきたことです。
その他にも、3/23(金)戸田市の埋蔵金で指摘した2億円余りの「埋蔵金」についても、新事実が判明しました。
次回の記事で、この点について明らかにします。

6月議会報告(速報版)

先週末(6/22)、6月議会が閉会しました。
今議会も一般質問を行いました。
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1.駅前の灰皿について――分煙を進めてはどうか。
2.外郭団体、その他団体について
 (1)国際交流協会のガバナンスや基本財産等について。
 (2)外郭団体のガバナンスや基本財産等について。
3.公立保育園について――利用者の視点でサービス改善を行ってはどうか。
4.各種手続の簡略化について
 (1)平成22年第1回定例会での質問以降の改善状況について。
 (2)特に保育園入園手続について。
 (3)今後の改善について。
5.自殺対策について――現状認識と今後の対応について。
今回から持ち時間40分(これまでは35分)と5分延びたのですが、重いテーマを中心に5問と内容が多く、持ち時間を目一杯使って残り1秒までの質問となりました。
速報として、議会だより用に書いた原稿を掲載します。
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「外郭団体」
議員:外郭団体の運営に不備がある。例えば国際交流協会は規約どおりの運営がなされておらず、また2億円以上の基金は、もとは市民の税金でありながら、現在は協会のものとなってしまっている。こうした内部統制の是正や基金の有効活用(または市への返還)を求めるべきではないか。
市民生活部長:国際交流協会は戸田市とは別団体。それらの問題に市として関知はしない。
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議員:協会は厳密な意味で市の支配下にある団体ではないが、その原資は市から出ており、また事業は市の国際交流事業として、市民に直接影響する。市の担当者として、関心が薄いのは無責任である。
「公立保育園の使用済みおむつ」
議員:戸田市の公立保育園では、うんちやおしっこが付いた使用済みの紙おむつを保護者が持ち帰る規則になっている(私立園の大多数は園で処理)。不便である上、衛生管理上も国のガイドラインに沿わない状態が放置されており危険である。園での処分に切り替えるとともに、病原性大腸菌やノロ・ロタウイルスなど病原体の感染予防を再検証願いたい。
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ノロ・ロタウイルスの症状
こども青少年部長:公立園には公立園の良さがある。質問の点は公立園のサービスメニューの参考としたい。
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税金のムダ一掃④「議員特権の廃止」その2

削減できると思える費用はまだあります。「その1」に続き紹介します。
④海外派遣
毎年1回、戸田市議会から海外の友好都市に議員が派遣されており、事実上、4年間の任期中に1度、中国やオーストラリアの友好都市に派遣がなされています。いくら友好親善のためとはいえ、議員全員が訪問する必要があるのかどうかは議論の分かれるところであり、議員の間からも「議長らの代表派遣で十分」とする意見も出ています。
また、派遣費用は1人当たり50万円程度が計上されていますが、昨今の海外旅行費用の劇的な値下がりを考えれば過剰にも思えます(ちなみに、もし私が同様のコースで個人旅行をするならば、予算は10万円程度を想定します)。
海外派遣については、反対の意見を表明する議員もおり、私の他数名が参加を見合わせています。
⑤報酬、期末手当
市議会議員としての議員報酬、期末手当の金額が妥当であるかどうかについては、戸田市議会においても常に議論になるポイントです。
この件では、金額そのものについても議論が必要ですが、議員自身が報酬その他の待遇を決める構造自体が問題であると思われます。
例えば、報酬や待遇などを客観的に判断する外部委員会を設置して金額を決定するなど、報酬額決定の過程自体を変えるべきであると考えます。